CD-R特許関連行政訴訟、フィリップスら三社に勝訴逆転判決

J050819Y1 2005年9月号(J73)

 台湾CD-Rメーカー各社に対するCD-R関連特許の一括ライセンスが公平取引法で禁じられている連合行為(日本独禁法にいう共同行為)にあたるとされ、公平取引委員会(以下、公平会)から過料処分を受けたフィリップスら三社が起こした行政訴訟で、台湾高等行政裁判所は11日、公平会の処分を取り消し、原告側によるライセンス供与は連合行為に当たらないとする逆転判決を言い渡した。判決では、市場状況の著しい変動が生じたにもかかわらず、ライセンシーに交渉の機会を与えず、従来の実施料率の算定方法を維持していたなどの違法な事実は確かにライセンサーであるフィリップス、ソニー、太陽誘電三社にはあったものの、三社がそれぞれ保有するCD-R関連特許技術は代替不可能な「相互補完性」を有するものであって、互いに競い合う関係が存在しないことから、連合行為に当たらないと認定し、公平会の見解を覆した。

 

1999年、台湾CD-Rメーカー三社は、フィリップスら三社がライセンス料の料率を共同で決定する合意に基づいて一括ライセンスの形で台湾CD-R特許技術市場での独占的な地位を築き上げ、ライセンス料の料率を不当に維持し、またライセンシー側に実施許諾に関する重要な情報の提供を拒否したのは市場地位の濫用にあたるとして、公平会に告発した。これを受けて、公平会はかかる行為を直ちに止めることを求めるとともに、三社に併せて1400万元の過料処分を下した。これを不服としてフィリップスらは訴願手続きを提起したが、公平会の処分を逆転させることに失敗し、同三社は転じて高等行政裁判所に裁判を起こした。

 

公平会は「原告らは市場で水平的な競争関係にあり、CD-R関連特許をそれぞれ保有している。それなのに、ソニーと太陽誘電はライセンス供与に関してフィリップスに一任し、フィリップスが仕切る形で各社の保有する関連特許をまとめて台湾CD-Rメーカーに一括ライセンスをした。相互間の競争が排除されたことによって、市場機能が妨害された。公平取引法第14条に違反する」と主張している。これについて、判決では公平会と異なる見解が次のように示されている。「公平取引法第14条に定めた『連合行為』を構成する主体的要件から、製造販売の同一の段階において水平的競争の段階にあることが必要である。但し、競争関係が存在するかしないかは事業者が提供する商品又は役務に代替可能性があるかないかによる。裁判所が調べたところ、CD-Rの技術分野においては、ライセンス供与を受けようとする者がフィリップスら三社の特許技術を同時に使用しなければCD-Rを作り上げることができない。フィリップスら三社が保有する特許技術に相互補完性があり、他の技術への代替が不可能である。したがって、三社の間には競争関係が存在しない。競争関係がなければ、当然のこと公平取引法上の『連合行為』に当たらない。」

 

裁判が行われていたここ数年の間に、光ディスク産業の環境は大きく変化している。フィリップスら三社はとっくに一括ライセンスを取り止めており、各自ライセンス供与をし、ロイヤリティーを徴収している。要するに、当時問題とされていた「連合行為」はもはや存在しない。あるメーカーの話しでは、裁判の結果が出たところで、影響を受けることはない。当時、公平会に告発したメーカーも、今は一社だけが生産を続けているという。(2005.08

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