特許訴訟審理の迅速化、司法院より改革案提出 早ければ来年にも専門裁判所が登場

J040419Y6 2004年5月号(J57)

 ハイテク分野に関連する特許紛争が国に跨って続発していることから、業界各社と欧・米商会らの呼び掛けでいよいよ特許裁判所設置の兆しが見えてきた。知的財産権をめぐる訴訟審理の迅速化を図ろうと、司法院では「知的財産専業裁判所」、「特許裁判所」及び「専業法廷」という三つの改革案が起案されており、5月に司法院会議に提出する予定。

 

方案一、高等裁判所に「知財専業法院」(法院:裁判所)を新設。但し、国民が地裁から知財訴訟事件を地裁から審判してもらう、いわゆる「審級利益」のはく奪、また民事、刑事手続きを始めても事件が上下の裁判所間を行き来したあげく、特許権の帰属と効力のはなしとなると、やはり行政裁判所へ移って確認してもらうしかないなど手続きの繁雑さや裁判の長期化の問題解決にはならないといったデメリットがある。

 

方案二、高等裁判所レベルの「特許裁判所」を新設。知財関連争訟のカギとなる特許権の有無や効力の問題を直接二審の特許裁判所に解決してもらう。二級二審制だから、素早く審理し結審する。関連措置として経済部知的財産局が設置する訴願審議委員会は「準一審機関」としての役割を果し、審議委員会の訴願決定に不服がある場合は直ちに二審の「特許裁判所」に控訴することができる。この案は米、韓の制度に近い。

 

方案三、それぞれ台北、台中及び高雄の地方裁判所に「知財専業法廷」を設置するとともに、高等裁判所レベルの「知財専業裁判所」を新設、という二元制をとる。即ち、行政救済手続きの一環である訴願の決定への不服申立ては行政裁判所に控訴。もう一方では、地方裁判所については、行政訴訟法等関連法令の改正を行い、特許権に係る行政訴訟が確定する前に地方裁判所は審理を停止しなければならないとなっている規定の適用を排除させる。

現行制度の下で、特許出願の審査期間は18ヶ月とされている。71日に改正法が施行されてからも、特許取得まで(拒絶査定をすべき事由がない場合)約10ヶ月間がかかる。さらに、行政救済手続きだけでも2年間がかかり、これにはさらに民事賠償請求、刑事訴訟に要する時間が加算される。今時の商品のライフサイクルから、遅い正義はもはや「後の祭りだ」としか言いようがない。

 

司法院行政庁は今のところ、高等裁判所に「特許裁判所」を設置する第二の案の採用に傾いている。最終的にどの案が採用されても特許関連訴訟制度は大きく一歩を踏み出すことになる。(2004.04)

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