フィリップスCD-R特許、強制実施決定 内需供給に限定

J040728Y1 2004年8月号(J60)

 CD-R特許をめぐってフィリップスと争ってきた台湾の光ディスクメーカー、「国碩」によるフィリップス社所有のCD-R特許の強制実施許諾請求について、知的財産局は26日、許可の決定を下した。実施期間は強制実施を許可した日から各当該特許の存続期間が満了するまでの間とし、実施は台湾の内需への供給に限る。

 

「国碩」は2002730日、CD-R特許技術の実施料についてフィリップスと数回にわたって交渉を行っていたが、協議が成立しないことを理由に、当時の特許法第78条第1項「合理的な商業条件を提示したにもかかわらず、相当の期間を経て、なお実施許諾について協議が成立しない場合」により強制実施許諾を請求した。外国企業が享有する特許権の権利行使に関わる問題であり、台湾の光ディスク産業の発展にも大きく影響することから、できれば協議を通じて双方に納得のいく合理的な解決策を見出そうと、知的財産局は最初から積極的に橋渡し役をつとめるつもりでいたが、結局協議が成立せずじまいに終わった。

 

知的財産局は、1997年から2003年上半期にかけてCD-R一枚あたりの出荷価格は5ドルから0.19ドルに下落し、市場価格に大きな変動が発生したにもかかわらず、特許の実施料率について依然に固定的な価格をもとにする計算方法を維持するなんてことは明らかに不合理で、料率について見直しや調整をする余地があるとしている。これについて、米ITC(國際貿易委員会)及びわが国公平交易委員会(公取委に相当)も同じ見解を示している。審査の過程において、知財局は産業の継続的発展を促進するため、特許技術権利者と技術使用者との利益均衡を配慮した。出荷価格のパーセントをもとに実施料を算定することについて、「国碩」が20013月にフィリップス社に更なる交渉を求めてから20024月までに行われていた一年間を超える交渉がずっと平行線のまま、今になっても話し合いがつかない状態だ。この点から、当時の特許法第78条第1項に該当するとすべきであって、よってフィリップス社が台湾で取得した五つのCD-R関連特許についての強制実施を「国碩」に認めると決定をした。但し、強制実施とは無償で他人の特許技術を実施できるというわけではない。フィリップスと協議して、適当な補償金を給付しなければならない。この決定に対し、フィリップスは不服があった場合、決定書が送達された日の翌日から30日以内に知的財産局を経由して経済部に訴願を提出することができる。

 

2001年にCD-R特許の実施許諾取消しを通告された「国碩」が、その翌年に主務官庁の知財局に強制実施許諾請求をしたのは、フィリップス社による特許権侵害訴訟の提起や差押え申立、製造販売の差止め請求などを未然に防ぎ、法律行動に出るフィリップスの一連の動きをけん制するためだった。数ヶ月前に米ITCが権利の乱用としてフィリップスの輸入販売差止め請求を退けたのに続いて、さらに知財局から強制実施許諾許可をもらった「国碩」は、国内外で長期間にわたってフィリップスのような強敵を相手に粘り強く戦ってきた甲斐があったという。この事件の結果から、台湾光ディスク産業にプラス影響を及ぼすと見られている。

 

3年ぐらい前に、フィリップス、ソニー、太陽誘電三社はそれぞれが所有するCD-R関連特許をまとめて一括ライセンスの形で台湾の光ディスクメーカーに実施を許諾したことが台湾公平取引法第14条に反し、そのうえ優越的な市場地位を利用して市場価格の変動にもかかわらず、巨額かつ不合理的なライセンス料を不当に維持していたことも同法第10条に反するとされ、台湾公取委から計1400万元の罰金処分を受けている。(2004.07

TIPLO ECARD Fireshot Video TIPLO Brochure_Japanese TIPLO News Channel TIPLO TOUR 7th FIoor TIPLO TOUR 15th FIoor