刑事訴訟改革、当事者主義導入、緊急捜索要件を厳しく

J020118Y6 2002年2月号(J32)

現行刑事訴訟制度に大きな変革をもたらすとみられる「刑事訴訟法改正案」は18日未明、立法院を通過し、成立した。訴訟手続きに関して、現行の職権主義は当事者主義へ移行し、犯罪事実についての立証は検察官が負うことになり、そして裁判所のほうは真実発見のため、職権で証拠調べをすることが「できる」に止まり、今まで裁判官の義務とされていた証拠調べの責任は検察側に移った。また、当事者主義の採用に合せて、起訴猶予制度が導入され、死刑、無期懲役又は最低3年以上の有期懲役の罪以外の罪に当たる事件については、検察官は1年以上3年以下の起訴猶予処分とすることができる。起訴猶予が導入されたことで、ある程度訴訟案件の負担軽減が図れると考えられている。

 

もう一つ検察官の職権調整に関係するのは緊急捜索権の限定範囲の縮小である。改正刑事訴訟法第131条により、検察官はある犯罪が現に行われていると認めるに足る確証を把握している、或いは証拠が24時間内に隠滅されるなどのおそれがある場合に限って、検察官が検事長に報告したうえ、緊急捜索を行うことが認められる。裁判所が緊急捜索を認めず、或いはそれを撤回するときは、その捜索過程で得た証拠物は証拠として採用することができない。

 

改正条文第161条、163条は検察官の被告に対する犯罪事実の調査において果すべき役割を大きく変えた。旧制では、検察官には挙証責任があるとなっていたが、新制では、挙証責任は検察官が負うものとされた。さらに、第一回公判期日前に、検察官が提出した証明方法では、明らかに被告の犯罪成立を認定するに足りないと認めるときは、裁判所は期間を限定して検察官に補正を命じる決定をすることができ、期限を超えて補正がなされなかったときは、起訴を却下することもできる。起訴の却下が確定したものは、同一事件について再び起訴をすることができなくなる。一方、裁判官の職権についても些か変化が見られる。それは、真実発見のため必要があるときは、職権で証拠調べができるというところである。裁判所は検察官の後に続いて証拠を集め、証拠調べをせず、ただ実質的正当な手続に従って裁判を行う。裁判の主導権を当事者である検察官及び被告人に委ね、公平な裁判所が背後に退いて裁判の流れを監視することが、裁判と捜査進行の混同を回避することにつながり、今回の改正で裁判官が中立した立場で裁判に臨む環境が作られた。当事者主義へ移行したとはいえ、「公平、正義の維持のため、又は被告の利益に関連する重大な事項については、裁判所は職権で調べなければならない」、と改正案においても補充的に規定している。裁判所が職権を発動する前に、当事者等に意見を陳述する機会を与えなければならない。また、当事者にも証拠調べを請求する権利がある。

 

中国時報2002.01.18

自由時報2002.01.18より
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