特許権濫用などで処分の後に相次ぐ摘発 PHILIPSへの逆風強まる

J0104041 2001年4月号(J22)

今年1月、台湾公平取引委員会(以下は公平会という)は、PHILIPS社がその優越的地位を濫用して過当な実施料を徴収し、さらに日本のSONY、太陽誘電二社とともにパッケージライセンス(一括実施許諾)の形で台湾の光ディスクメーカーにCD-Rに係る特許発明の実施を許諾したことが公平取引法に禁止されている連合行為(日本でいう共同行為)にあたるとして、巨額の罰金処分を下した。その後、PHILIPSは世界トップクラスのCD-Rメーカー「RITEK Corporation」、及びDVD世界最大手「Infodisk Technology Co., Ltd.」に対する特許技術の実施許諾を中止する旨のプレスリリースを発表した(そのいずれも台湾企業だ)。業界を揺るがすニュースだった。

 

目下PHILIPSSONY、太陽誘電と切り離して別途ライセンス契約をする方向でメーカーと交渉を続けているが、実施料の新料率は依然として高く設定されていて、前よりわずか引き下げられたが、PHILIPS一社だけでCD-R一枚につき8円の新料率を要求している(一括ライセンスにおけるロイヤリティーは三社合せて10円だった)。PHILIPS社の不公正な取引方法に関する摘発は相次いで公平会に寄せられている。この間、立法委員(国会議員)、台湾区電機電子工業同業公会(TEEMATaiwan Electrical and Electronic Manufacturers’ Association、台湾地区電機電子工業同業組合)、台北市コンピューター公会(Taipei Computer Association)の代表者らが公平会を訪問した際、CD-Rに係る各特許発明の権利者であるPHILIPSSONY、太陽誘電三社による実施許諾における不合理的な実施料の徴収、差別的取扱(中国のCD-Rメーカーに対しては実施料の支払いを要求していない)は台湾の光ディスクメーカーの国際競争力を弱めるもので、不利な取扱を受けた台湾業者は競争上劣位に置かれていること、またライセンシーに対して新しい契約に盛り込まれた、オーダーの明細、製造設備、OEM工場のリストなどに関する資料の提供を要求することは営業秘密に関わるもので、契約の条件がよりいっそう苛酷になったことなどを主張し、PHILIPS社の違法行為について調査するよう公平会に強く要望した。これに対し、公平会はCD-RDVDに係るライセンス契約の交渉において、PHILIPSがその優越的地位を濫用して過当なロイヤリティーを要求していないかについて調査を進めることにしている。一度処分を受けているPHILIPSは調査結果で違法行為を続けていると認められる場合、公平法第35条(三年以下の有期懲役若しくは拘留に処し、又は新台湾ドル一億元以下の罰金を科し、又は併科することができる。)により処罰される可能性がある。

 

また、PHILIPS社は光ディスク及び光ディスクドライバーに係る特許技術の実施許諾で得たロイヤリティーについて所得税免除の申請を提出したが、経済部工業局は特許権に関する証明書類が不十分として、書類の補足をまって審査することにしている。矢面に立たされるPHILIPSへの調査に公平会が動きだそうとするこの時期のことだから、PHILIPSの免税申請を却下する方針ではないかという見方も出ている。一方では、公権力の介入に頼るより、むしろ積極的にPHILIPSと協議すべきであって、特許権を多数もっている外国企業と正面衝突するになれば、経済全体、ひいては産業の発展に悪影響を及ぼしかねないということを懸念して、他の業者に先立って新しい契約をすることでPHILIPSと合意に至ったという大半の業者と異なる出方を見せる業者がいる。

 

経済部は、PHILIPSをめぐる一連の紛争について、ライセンス契約の紛争は双方の交渉を通じて解決を図るべきで、政府機関が介入することではないとしたうえ、必要に応じて適当に協力する考えを示した。

 

工商時報2001.04.04/04.03/03.31

経済日報2001.04.02/03.31

中国時報2001.04.03

自由時報2001.03.31      ほか

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