ネット発表作品無断転載 台湾業者と出版契約、中国国営出版社 台湾地裁、事情知らぬ業者に賠償金支払命令 業界に波紋

J060706X3 2006年8月号(J84)

中国国営科学技術翻訳出版会社Aは、台湾医師らがインターネットで発表した痛みの治療に関する文章を無断転載し本にした後、台湾の出版社Bと出版契約を交わし、台湾で発行させた。偶然本屋で『痛みは訪ねてこない』というタイトルが付けられたこの本を見つけた著者の医師(原告の一人)が著作権侵害を理由に、Bを相手に損害賠償請求の訴えを起した。板橋地方裁判所は先日の判決で、B75000元の損害賠償金を支払うことを命じた。

 

Aが著作権に問題ないと表明したため、安心して契約した。しかも、著者が台湾人だなんて全く知らなかった。台湾で発行した後、著作権侵害と訴えられるとは思いも寄らなかった。なのに、自分の責任追及に対し、張本人のAは問題があれば中国で裁判しろと知らぬ顔」という被告。揚げ句に、責任を問われ、賠償金を支払わされる羽目になった。

 

この判決を受けて、今後中国と出版契約を結ぶときは著作権の所在をはっきりさせておかなければ、と業界にも中国への警戒心を高める予想外の効果をもたらしている。たかが75000円程度の賠償金をさほど心配するまでもないなど等閑視せずに、中国との出版物交流が盛んななかで、この教訓を如何にして今後の交渉や契約締結にいかすかを考える上では重要な参考の価値があるものとみられる。

 

原告が発表した文章を掲載した痛みの治療に関する情報網のホームページには、「誤解や偏見を招いたりすることを避けるために、このサイトに掲載された内容を転載、引用する場合には、掲載元と出典の明示がなければならない」との告示があった。にもかかわらず、Bが出版した本の中身は原告の文章と類似の度合いが高く、言葉遣いや内容が同じな所も多い。さらに症例までが一致したことから、無断転載にあたるとして、原告は提訴に踏み切ったという。(2006.07

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