日本企業CDドライブ意匠権争訟 有効性確認、最高行政裁 牛歩の特許侵害訴訟 知財専門裁判所が待ち遠しい

J060811X1 2006年9月号(J85)

スリムタイプCDドライブの意匠権をめぐり、権利者である日本企業「ティアック」と、侵害者とみられる台湾メーカー「広明光電」との間に繰り広げられている一連の争訟は、先日の最高行政裁判所の判決で、係争意匠権の有効性がひとまず確認されたが、残りの審決取消し訴訟はあと五件、そして損害賠償を求める民事訴訟二件(一件は一審判決で原告ティアックの請求が認められたが、広明光電が控訴。もう一件は第一審判決すら出ていない)はなお各裁判所に係属中。

 

ティアックは2001年に、広明光電が製造・販売するスリムタイプCDドライブがティアックが保有する意匠権を侵害したとして、警告状を出してから5年経った今でも、二社間の争いは続いている。ティアックの攻勢に対抗して、広明光電は係争CDドライブに新規性も創作性もないなどを理由に意匠権の無効審判を知的財産局に請求したが、「請求不成立」となり、これを不服とした広明はさらに審決の取消しを求め、訴願を申し立てたが、ここでもやはり知的財産局の見解を維持する決定が出された。そして、広明は引き続き行政訴訟を起した、というのが今回の事件のいきさつ。

 

台湾における特許侵害訴訟は二元制システムに依拠して行われる。民事の場合、原告は地裁、高裁、最高裁の順で訴訟を進めていくが、民事訴訟における最重要な争点となる特許権や実用新案権、意匠権の有効性が争われるときは、知的財産局、訴願審議委員会、高等行政裁判所、最高行政裁判所という行政救済手続きでそれを確認するまで、裁判は一旦停止することとなるのがほとんどである。たとえ権利行使をしたとしても、自分が真の権利者として享有すべき権利を保障され、そして侵害以前の状態に回復するまでかなりの月日を費やさなければならない。今回の事案はその一例である。

 

知的財産関連民事・刑事・行政事件処理の一本化を実現する専門裁判所の創設が訴訟審理の迅速化につながると大きな期待が寄せられるなか、919日に始まる次の国会での「知的財産法院組織法」と「知的財産案件審理法」に関する継続審議が来年3月の発足に間に合うことを願いたい。(2006.08

TIPLO ECARD Fireshot Video TIPLO Brochure_Japanese TIPLO News Channel TIPLO TOUR 7th FIoor TIPLO TOUR 15th FIoor