国営企業名称の無断使用は大丈夫? 会社登記されても商標権侵害の可能性

J060919Y2・J060911Y2 2006年10月号(J86)

国営企業の社名が全く無関係な他人によって会社登記されたケースが多発しているなかで、知的財産局は先日、「歴史の長い国営企業が消費者に与える印象が強く、その社名は著名商標としての要件を満たしている。恣意的にこれを会社名称に登記したりすると、商標権侵害になる」との公式な見解を発表した。

 

会社登記と商標登録は、経済部(経済産業省に相当)商業司と知的財産局がそれぞれ所管している。会社登記の場合、営業項目が審査のポイントになり、例えば、台糖(台湾糖業公司、通称「台糖」)の営業項目は砂糖の製造・販売であるのに対し、「台糖ハウス」は住宅・賃貸マンション・不動産物件の仲介を営む会社で、業務の性質が根本的に異なるため、「台糖」を社名の主要部分とする会社登記を許可された。主務官庁から会社登記の許可を受けたから、これを業務上独占的に使用する権利を得たと思い込んでいる経営者が案外多いようだ。そのため、他人の登録商標や著名商標と衝突する問題が起こるとは考えもしなかったという。実際、一般の消費者には区別がつかず、筆者の周囲にもグループ企業と間違えてしまう人が結構いる。もちろん、社名が勝手に会社登記されたりする問題に直面する国営企業は「台糖」だけではない。

 

商標法第62条により、他人の「著名な登録商標」若しくは「登録商標」であることを明らかに知りながら、商標権者の許諾を得ないで、当該著名商標或いは登録商標中の文字を自己の会社名称や商号、ドメイン名に使用したことで、その商標がもつ識別力、業務上の信用を減損したり、又は消費者に混同誤認を生じさせたりするときは、商標権侵害とする。

 

知的財産局が今までの司法事件を調べたところ、他人の登録商標を権利者に無断で使用した場合、その商標の知名度が高ければ高いほど、主観的に(侵害の)故意があったと認定されがちだとの結論を得た。他人の商標権を侵害したかどうかの調査を怠った場合、注意義務に違反するとされ、民法上の過失責任を問われることになる。ただし、商品の包装を一目で見て、これは他人の商標であると判らなければ、行為者に明らかに故意があったと断定することはできない。

 

現行商標法は、侵害行為に関する主観的要件を明確に定めておらず、また司法判断のばらつきもあって、民事・刑事責任に関わる規定をどのように改正すれば産業界のニーズに応えられるか、知的財産局は司法機関と討議してから決定する方針だ。(2006.09

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