著作権法改正案、P2Pサイトが規制対象 学界から異論

J061023Y3 2006年11月号(J87)

 立法委員(国会議員)57名が連名で提出した、ピアツーピア(P2P)サイトを対象に罰則を新たに設ける著作権法改正案は、今年4月24日に委員会審査を通過し、9月19日に始まる新しい会期で継続審議になっているが、学界から異論を唱える声があがっている。

 立法委員の案によると、著作財産権者の許諾を得ないで、著作物の公開伝達又は複製が可能なプログラムその他の技術を公衆に提供し、利益を受けたものは、著作権侵害とみなす。ところが、発案のきっかけになったP2Pサイトの音楽配信をめぐる著作権侵害問題で、IFPI(国際レコード産業連盟)と裁判で争っていた台湾最大手P2Pサイトの「KURO」、「Ezpeer」は一審判決後、レコード会社と和解の話しがまとまり、サイト側で経営の合法化を図ろうとしている。その矢先に、世界に先駆けてP2Pサイトを刑罰で制裁するための著作権法改正を急ぐ理由はどこにあるのか?アメリカでも、P2Pサイトにおける著作権侵害に関する立法は未だに検討の段階にとどまっているのに、台湾が先進国のアメリカに先立って刑事罰を成文法に盛り込むことは果たして妥当なのか?法律専門家が疑問を投げかけた。

 著作権法では、著作権侵害行為を「侵害」の二文字で定めており、直接か間接かに踏み込んでいない。他人による著作権侵害に設備を提供した者は、アメリカのこれまでの裁判例では「侵害幇助」としているが、これらの事案はいずれも民事事件で、侵害幇助という概念を取り入れるには検討の余地があっても、侵害者に対して民事・刑事両方の法律責任を問うわが著作権法の下では、そう簡単にはいかない。刑事犯罪の構成要件は明確に定めなければならず、刑事犯にはそもそも正犯、加担犯(教唆犯、従犯)があり、さらに「侵害幇助」を加えいれるのは妥当ではないとの意見が出ている。

 次に同法案のポイントを説明する。

  1. 第87条第1項7号:著作権者の同意又は許諾を受けないで、公衆がインターネットを通じて他人の著作物を公開伝達し又は複製できるようにする目的で提供する。公衆に対し、著作物の公開伝達又は複製が可能なプログラムその他の技術を提供し、利益を得たたものは、著作権侵害とみなす。
  2. 第87条第2項:公衆がコンピュータプログラムその他の技術を利用するよう唆したり、いざなったりして、著作財産権を侵害した者は、著作権侵害の意図があったとする。
  3. 第97条:もっぱら公開伝達をすることによって、著作財産権者の権利を侵害し、その状況が重大な場合、主務官庁は、最も重い処分として業務停止を命じ、若しくは強制休業させることができる。
    (2006.10)
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