知財裁判所設置法案、国会で継続審議のなか 再び公聴会 くすぶる裁判所制度 弁護士会や権利者団体「刑事裁判一審を」

J061024Y9・J061012Y9 2006年11月号(J87)

 「知的財産案件審理法案」の議論が、来年3月の(知財裁判所)開設を控え再燃している。立法院司法委員会が23日に開いた公聴会で、法案の逐条審議に入る前に裁判所の制度や諸関連法規の整備を含めた案にするのが先決だろうとの意見が相次ぎ、また弁護士会や権利者団体の代表らは著作権侵害事件の刑事裁判の第一審を知財裁判所の担当事件に含むよう求めているが、司法院はこうした事件は夜市での露天商による海賊版販売が大半を占めることから、各地地方裁判所で取り扱えばよいと反対の姿勢。

 公聴会に参加した有識者や専門家たちは、知的財産裁判所の設立後、すべての知的財産事件の訴訟提起は同裁判所に対してしかできないのか、専属管轄の効力があるのか、法案でははっきりしていないと指摘。また、専門裁判所は知的財産関連訴訟手続きの簡略化や訴訟時間の短縮のために必要だというわけだが、司法院の「知的財産案件審理法案」によると、民事事件(損害賠償請求)と行政事件(特許権の有効性判断)は別々に処理されることになっていて、本来の設立趣旨である訴訟一元化を実現できていないのではないか。

 これについて、司法院は、「同裁判所設立後、知的財産関連の民事・刑事事件は訴訟を一旦停止することなく、行政事件と同時に進めることができる点においては、現行制度と異なる。現行制度の下では、民事裁判の進行中に訴訟目的の特許権が有効かどうかが争われる場合、一旦訴訟を停止して行政裁判所に判断を仰ぎ、行政訴訟が確定するのを待たなければならないが、専門裁判所の創設により、裁判官は直接判断をすることができるようになり、知的財産権者への権利救済を早めることにもつながる。」と答えた。

 知的財産関連民事・刑事事件は現在、通常の裁判所で取り扱われている。しかし、民事事件担当の裁判官の中で、知的財産専業免許をもつ人は6名、そして刑事事件担当裁判官のほうは13名。高等行政裁判所では知的財産関連事件専門担当裁判官は僅か3名。

 このほか、知財裁判所の開設に合わせて採用する「技術審査官」についても、法律上の位置づけや、裁判ではどんな役目を担うか、疑問の声が多い。今のところから見ると、知財裁判所に関する両法案の今国会で成立できるか、見通しが立たない状況だ。(2006.10)

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