池上米、地理的表示登録後 売値が50%アップ 非加盟国でも登録が可能、台湾特産品 EU進出の好機到来
J061122Y2・J061122Z2 2006年12月号(J88)
欧州経済貿易事務所(台湾と国交関係がないゆえに領事館の代わりに機能する)、台北欧州商務協会、行政院農業委員会(農林水産省に相当)、知的財産局が21日に共同で開催した知的財産権フォーラムで、地理的表示に議論が集中する一幕を見せた。台湾商標法は03年に改正され、地理的表示の証明標章の出願を可能にした。しかしながら、今のところ地理的表示証明標章の登録を受けたのは池上郷(「郷」は行政区画の一)の役所が出願した「池上米」のみ。
池上米が地理的表示として認められてから、販売価格が5割もアップし、これまで若者が敬遠しがちな農業に新風を吹き込んだように、田舎で農業をやろうという若者が増えるだけでなく、周辺地域の観光事業の活性化にもつながっている。また政府が「一郷に一特産」の政策を打ち出し、各地方自治体、市町村は現地の特産品についての地理的表示登録に強い興味を示している。世界的に有名な凍頂ウーロン茶の産地である南投県鹿谷郷の役所からも出願。9月中旬に証明標章の登録を受けたものの、地理的表示の条件を満たすかどうかは、そのウーロン茶製品の品質が原産地の自然環境に由来することを示す更なる確証の提出が求められている。
欧州経済貿易事務所の代表は会議で、欧州委員会の決定でEU非加盟国でも地理的表示の登録が可能になったため、これをきっかけに地理的表示への取り組みを強化し、台湾ならではのフルーツや農産物、加工品のEU市場進出、輸出拡大には最高のチャンスが到来したと指摘したうえ、地理的表示によって保護されている商品のEUでの市場価値が高いとも示唆した。(2006.11)