「台北101」立体商標 利用は料金を払え! 台湾新幹線、全線開通控え 立体商標登録は思うようにならず

J061120X2 2006年12月号(J88)

 台湾高速鉄道会社は、通称「台湾新幹線」の全線開通を目前に控え、日本新幹線を原型にした700型列車についての立体商標登録を急いでいる。経済部訴願審議委員会に対する知的財産局の拒絶査定処分への不服申立てが退けられ、同社は引き続き行政訴訟を起こすかどうか注目される。

 知的財産局によると、700型列車の外観はドイツ、フランス、中国の高速列車と大して変わらず、外国をよく旅行する台湾人にとって区別がつきにくく、そのようなデザインを台湾高速鉄道が提供する商品或いはサービスに直結することは困難であるということから、登録を認めないとした。

 立体商標として登録されるには、まず「先天的識別力」がなければならない。先天的識別力が欠如の場合、出願人は「後天的識別力」があることを証明できる、つまり消費者がその商標を十分認識している証拠を提出しなければならない。先天的識別力は、商標そのものが本来持つ特殊性から、消費者が一目で見れば、その出所がどこか判断できるものをいう。これに対し、後天的識別力は、宣伝広告やマーケッティング活動を通して、消費者にこの立体商標を印象付ける。

 一方、台北101はなぜ立体商標として認められたのかというと、現在世界で最高層ビルであり、ディテールのデザインに中国の伝統芸術が取り入れられ、また竹の節のような特殊な構成となっていて、世界最大のドキュメンタリーチャンネルであるディスカバリーチャンネルも特集でこのビルの建設工事で利用された世界で類を見ない建築工法を紹介するほど、着工の段階から注目され、今は世間に広く知られている観光名所であるために、その立体商標登録を認めた。

 台北101も台湾高速鉄道もその高い知名度を利用して、商標の使用許諾から得られる莫大なライセンス収入を見込んでいる。前者はありとあらゆる日常生活用品を商標使用商品に指定している。立体商標登録の背後に潜むビジネスチャンスを嗅ぎ付けているからだろう。

 2003年の商標法改正で、立体商標出願を認めて以来、合計508件が出願され、審査済みは284件で、登録件数は143件。登録率は約5割と先進国に比べてやや高め。(2006.11)

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