文物展をスポンサード ブランド価値向上新戦略 ハイテク企業と故宮博物院が提携 台湾文化財を世界に向け商品化

J061224X5 2007年1月号(J89)

 メーカーの企業イメージは技術力に対する評価に大きく左右されるが、競争の激しいハイテク商品ジャンルで企業認知度やブランディング効果を高めるには技術力のみならず、競合他社と一線を画すインパクトのある商品戦略にもかかっている。そこで、韓国大手サムソン電子、台湾携帯・液晶ディスプレー大手のBenQとも国家文化財を数多く所蔵する世界的に屈指の「台湾故宮博物院」における所蔵品展示会のスポンサーになり、これまでにない多面的でスケールの大きなプロモーション展開にチャレンジし、自社ブランド価値に繋げようとしている。BenQの代表取締役社長は、「企業イメージアップだけでなく、新製品開発にも歴史的価値の高い文化財の中から良いアイディアが生まれてくる。台湾故宮には年間150万~200万人の見物客が訪れており、うち外国人が半分を占めている。展示会をスポンサードして得たブランディング効果は、2,000万台湾ドル(約7,500万円)の寄付金をはるかに超えるだろう」と話している。

 台湾故宮博物院院長によると、企業と文物の融合は必然的な時代の流れであり、ここ数年、文化財をエポックメーキングなハイテク製品に取り入れることによる次元の異なる文化の融合が商品ブランド価値の向上に寄与するという発想が生まれ、スポンサーやランセンス契約締結の形で故宮と連携するケースが増えているという。

 故宮博物院としてもデジタルコンテンツ産業への進出から所蔵品のライセンシングまで、単に所蔵品を管理・保存する立場を脱出して、積極的に「文化輸出国」への道を歩み出している。故宮の調べでは、今年の売り上げに1,500万台湾ドルのライセンス収入増が貢献している。年に二回行われる入札(落札した企業とランセンス契約を結ぶ)から概算して、07年にも1,000~1,500万台湾ドルのライセンス収入が見込まれる。

 文物ライセンシングには図像ライセンシング、ブランドライセンシング、出版物の共同開発、製品への商標使用許諾がある。そのうち、故宮所蔵の文物(実物ではない)と商標を二年間使用できるブランドライセンシングを望む企業が多いらしい。(2006.12)

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