知的財産裁判所 開設を目前に法制化急ぐ 知的財産案件審理細則、関連部会 具体案検討中

J061207Y9 2007年1月号(J89)

 知的財産裁判所の開設を07年3月に控え、関連部会を横断して設置された作業部会では諸関連法規の改正や新法案の制定についての検討が足早に進められている。12月4日、知的財産案件審理細則の制定に関する第四回の検討会議が開かれ、公平取引委員会、知的財産局、知的財産専門法廷の裁判長や裁判官、法曹界の専門家たちが一堂に集い、技術審査官の職務執行準則について討議した結果、とりあえず次の結論がまとまった。但し、最終案の取りまとめは、同細則の根拠となる知的財産案件審理法の国会での審議結果をまってからということになった。

一、知的財産事件の審理にあたって必要と認めたときに、知的財産裁判所は裁定(日本の「決定」に相当)をもって技術審査官を指定し、知的財産案件審理法第4条に定める職務を執行させることができる。
 
二、高等裁判所または地方裁判所が知的財産関係刑事訴訟を取り扱うために技術審査官の協力が必要と認めたときは、知的財産裁判所に技術審査官の派遣を要請することができる。
 
三、訴訟に協力するために指名された技術審査官は、具体的に次の職務を執行する。
  1.その専門知識に基づいて、訴訟書類と資料に関してその論点を分析、整理し、争点を明確にし、並びにその説明に関する専門分野の参考資料を提供する。
  2.争点、証拠の整理並びに証拠調べの範囲、順序及び方法について専門的所見を述べる。
  3.裁判長若しくは証拠を調査する権限を有する受命裁判官の許可を経て、当事者本人、訴訟代理人、証人若しくは鑑定人に対し必要な範囲内で質問することができる。また、当事者本人、訴訟代理人、証人若しくは鑑定人等の供述にあった容易に理解できない専門用語について説明する。
  4.検証前に、若しくは検証時に裁判官に注意事項を説明し、当事者による検証対象物についての説明、対象物の処理及び操作を、裁判官が理解できるように協力する。
  5.判決書に添付する図表の作成に協力する。
  6.裁判の評議時に裁判長の許可を経て列席し、事件に関する技術上の意見を述べる。また、裁判長は、技術審査官が法廷で述べようとする意見について、予め書面を提出することを命ずることができる。
 
四、技術審査官が裁判期日に事件審理に参加するときに、その氏名を訴訟記録に明記しなければならない。裁判長若しくは受命裁判官の許可を経て、当事者若しくは証人、鑑定人に直接発問するときに、その事由を明確に裁判記録に記載しなければならない。
 
五、技術審査官がその職務執行の成果について、報告書を作成することができるが、これを不公開とする。
 
六、裁判所は必要なときに、他の技術審査官を新たに指定して職務を執行させることができる。
 
七、技術審査官の口頭陳述は、証明の必要があると認定される事実の証拠として直接採用することができない。当事者が訴訟において証明の必要がある事実について自ら挙証責任を果たさなければならず、技術審査官の陳述をそのまま引用することができない。(2006.12)

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