強制実施の要件緩和に向け特許法改正へ パブリックコメント募集 欧州商工会議所が強く反対 経済部「世界的ルールと国内法に則って対処」

J070118X1・J070122X1 2007年2月号(J90)

 台湾知的財産局によるCD-R関連特許権の強制実施決定を不当なものとして、フィリップスは欧州委員会に不服を申し立てていることがマスコミの報道で大きく取り上げられている。これに関連して、台湾駐在欧州商工会議所は先日、立法院で審議中の専利法(日本の特許法、実用新案法、意匠法三法に相当)第76条を改正する案に強く反対する姿勢を示した。その理由は、「強制実施を、国内市場への供給に限らないということにすることは、TRIPS協定違反であり、台湾における外国企業の知的財産権の保護が危ぶまれる。結果として強制実施の濫用につながり、ひいて外国ハイテク企業を台湾から遠ざけることにもなりかねない」というのだ。
 専利法第76条を改正する案は、64名の立法委員(国会議員)が昨年11月15日に連名で立法院「経済及びエネルギー委員会」に提出した、いわゆる「議員立法」であり、その改正趣旨は「現行規定によると、特許権者に競争制限若しくは不正競争の行為があったときに、処分若しくは判決が確定するのを待たなければ、強制実施を請求することができないとなっているから、特許権濫用に対抗する迅速で有効な救済が望めない。」とある。同案が委員会の審査を経て、「特許権者に競争制限若しくは不正競争といった特許権濫用の事実があったときに、裁判所の判決若しくは公平取引委員会の処分を経て、それが確定するのを待たずに強制実施を請求することができる」となる。

 特許権者の許諾を得ていない他の使用の場合においては、WTO加盟国が尊重すべき条件を定めるTRIPS第31条(k)によると、反競争的行為の是正の目的のために使用が許諾される場合、(b)及び(f)の条件が免除される。(f)の条件とは「使用は国内市場への供給のために許諾」をいう。すなわち、特許権者に競争制限若しくは不正競争といった反競争的行為があった場合においては、強制実施許諾は国内市場への供給という制限を受けない。したがって、欧州商工会議所が指摘したような、世界的ルールに違反することにはならない。

 改正案が1月12日の本会議で審議された際、与野党議員からパブリックコメントを広く集めたうえで可否を決めるべきだとの意見があり、改めて公聴会を開き、次の会期に継続審議が行われることになった。(2007.01)

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