「知的財産案件審理法」ようやく立法院を通過 与野党議員対立のなか 知的財産裁判所組織法案や政府予算案 棚上げのまま、国会は閉会へ

J070110Y9 2007年2月号(J90)

 「知的財産案件審理法案」は1月9日、立法院を通過した。予定していた通り3月に運営を始めるかは、知的財産裁判所の柱となる「知的財産組織法」と「知的財産案件審理法」が今国会で成立するかどうかにかかっているだけに、産業界から法曹界までがその動きを注視している。ところが、1月19日に立法院は今会期を終え、閉会した。知的財産裁判所を創設する法的根拠である組織法案はもとより、中央政府予算案さえが棚上げにされたまま、国民の期待を裏切るような結果となった。審議待ちの法案が山積しているのに、臨時会の招集についての与野党協議は平行線のまま終了。審議法案の優先順位に向けた話し合いを深めれば深めるほど、対立構図が鮮明になるばかりだ。打開策は見出せるか?1月17日から25日までの九日間に及ぶ旧暦のお正月休みが近づくにつれ、国じゅうがバカンスムード。国会審議の話し合いは早くてもお正月明けの2月26日以降になるだろう。

 次に、知的財産関係訴訟の集中管轄、技術審査官の配置、証拠保全手続きの強化、証拠収集手段の充実、営業秘密保持命令の導入等の特色を中心に知的財産案件審理法のポイントを説明する。

 知的財産裁判所で取り扱われる事件には、専利法(日本の特許法、実用新案法、意匠法三法に相当)、商標法、著作権法、光ディスク管理条例、営業秘密法、集積回路回路配置保護法、植物品種及び種苗法、公平取引法が保護する知的財産権に関係する民事訴訟事件の第一審・第二審及び行政訴訟事件第二審(民事の本案訴訟に関連する証拠保全・保全手続、行政訴訟における強制執行を含む)、並びに刑法第253条から第255条まで、第317条、第318条の罪を犯し、若しくは商標法、著作権法、公平取引法第35条第1項が関わる第20条第1項及び第36条が関わる第19条第5号に関する事件について、通常の手続き、略式手続き若しくは協議の手続きにおいて為された刑事裁判の第一審判決を不服とした控訴審又は抗告審、がある(第7条、23条、31条)。

 立法の段階から最も注目されてきた、技術審査官だが、審理の円滑化を図るため、技術的問題に関して専門的所見を裁判官に提供する立場から、裁判官の命令を受けて次の職務を執行する。1.訴訟関係を明確にするため、事実と法律上の事項について専門知識に基いて当事者に説明し、若しくは発問する。2.証人若しくは鑑定人に直接発問すること。3.本案について裁判官に意見を陳述すること。4.証拠保全時に証拠調べに協力すること。

 知的財産権関係民事訴訟或いは行政訴訟の証拠保全手続きにおいて、文書若しくは検証対象物を所持する当事者若しくは第三者は正当な理由なしに証拠提出命令に従わないときは、3万元以下の過料を科することができる。しかも過料だけでは済まされない。裁判所は、警察機関の協力を得て、強制的に証拠物を交付させる。一方、特許侵害に関する刑事罰が撤廃されたのを受けて、侵害事実の立証のため、必要なときに技術審査官に証拠収集を手伝わせるすることができる。

 このほか、訴訟手続きが進行している間に営業秘密に関わる証拠資料が横流しされないように、裁判所は証拠の所持者から申立てがあったときに、証拠に接する者に秘密保持命令を発令することができる。命令に違反した者が刑罰を科されることがある。通常、裁判を公開してするのが原則だが、当事者或いは第三者が所有する営業秘密に関わる事件の場合、当事者の請求に応じて不公開とし、そのうえ訴訟資料の閲覧、抄録、撮影を制限することもできる。(2007.01)

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