CD-R特許強制実施廃止、専門調査委員会 初審査で結論に至らず 米ITC最終決定 フィリップスが逆転勝訴、欧州委員会も5月に台湾現地調査へ 知的財産局に逆風強まる中 強制実施要件緩和に急ブレーキ

J070209Y1・J070207Z1 2007年3月号(J91)

 フィリップスが所有するCD-R特許の強制実施処分の廃止請求に関する第一回の専門審査会議が8日、開かれた。フィリップスと実施権者の台湾CD-Rメーカー「国碩」との激しい攻防戦が繰り広げられ、双方が提出した証拠について更に調べる必要があるとして、委員会は結論を先送りにした。

 特許権の実施料をめぐり、フィリップスとの交渉が決裂したため、双方当事者が台湾を始め、欧米において一連の訴訟を起こしている。先月の米ITC最終決定で、フィリップスの差し止め請求が受け入れられたのに続いて、欧州委員会からもフィリップスの対台湾提訴が受理されたとの通知が伝えられ、特許権者に有利な結果続出の様相。台湾メーカーの主な輸出先で、フィリップスは包囲網を強めている。

 フィリップスは、国碩が「製品は国内市場への供給に限る」という強制実施の絶対的条件を遵守せず、CD-Rを大量に海外へ輸出し、海外輸出の割合が売上高の半分をも超えていると主張し。その裏づけとして国碩の年間財務報告書や税関輸出データを提出している。

 一方、フィリップスと台湾CD-Rメーカーの国碩、巨擘二社との特許権侵害争訟で、米ITCは2月6日、フィリップスを特許権濫用とした先の仮決定(2004年)を翻した見解を示し、フィリップスの許諾がない限り、国碩、巨擘二社CD-R製品の対米輸出・販売を禁止する新たな決定を下した。2004年、米ITC行政判事は、フィリップスの特許権が国碩、巨擘二社によって侵害されたとの判断を示す一方、フィリップスに特許権濫用の事情があったことを理由に、その差止請求を退けた。この判決を根拠に国碩はフィリップスを反訴すると同時に、フィリップスもまたITCの判断を不服として米連邦巡回控訴裁判所に提訴し、やがて逆転勝訴を手に入れた。その後の情勢は、フィリップスに有利に展開している。

 同じ2004年7月、台湾知的財産局はフィリップスのCD-R特許に関し、国碩の強制実施許諾請求を認める処分を出した。2006年6月、フィリップスの不服申立てについて、経済部訴願審議委員会は知的財産局の見解を維持する決定。同年8月、フィリップスは台北高等行政裁判所に提訴。さらにEUにも台湾を提訴。これを受けて、欧州委員会は3月1日、フィリップスが提訴した内容が真実かどうか、貿易障壁規則(TBR)に基づいて調査を実施すると正式にわが国に知らせてきた。5月に調査員を台湾へ派遣して現地調査を行い、並びに台湾主務官庁と討議をしたいという。

 台湾初めての強制実施処分をした知的財産局が批判の矢面に立たされているこのようなときに、強制実施の要件を緩和するどころではない、と議員立法で国会の委員会審査を通過した特許法第76条を改正する案について、あらためて公聴会を開きパブリックコメントをまとめてから継続審議をすると急ブレーキがかかった格好だ。(2007.02/2007.03)

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