営業秘密出資で株式取得 証券取引か財産取引か? 最高行政裁「受入株式額面価額の30%で原価計算」

J070320Y4 2007年4月号(J92)

 営業秘密を現金の代わりに出資した場合、そのコストや費用はどう計算するか?先日、最高行政裁判所は判決で、受入株式額面価額の三割で計算するとした。この事件の原告は会社の同僚と共同で開発した、樹脂の合成及びその薄膜の商用化に関する製造技術を、他社に出資してD社株式160万株を取得した。これに対し、国税局は原告が1998 年にこの財産取引について所得税の申告漏れがあったとして、追徴課税299 万元(1,046万円相当)と過料149万元(521万円相当)の処分を下した。

 原告は国税局の処分を不服として行政訴訟を起こした。原告は、D社株式160万株を取得したのは証券取引の所得であり、所得税法第4条ノ1により証券取引所得は所得税が免除されると主張するのに対し、税務機関は、専門技術を現物出資の場合、出資によって取得した投資先企業の株式についてその額面価額から専門技術獲得のコストを差し引いて得た差額を財産取引所得とみて所得税を納付しなければならないという。

 知的財産を形のある株式に換える場合、税金計算上のコストや費用は何を基準とすべきかが争われる。今回の判決では、「所得税法にいう収入は金銭に限らず、実物と権利をも含む。技術を出資して取得した株式は所得税法にいう収入に該当し、原告が開発した技術は特許権ではなく、文書などで保存したり伝達したりすることが可能なノウハウであり、財産であるため、それを株式に換えた場合、財産取引による所得と認定する。収入である以上、所得税法第24条ノ1により、原価や費用を控除して税金を計算する」としている。ただ、営業秘密の原価計算に関する基準がないのは問題だ。したがって、最高行政裁判所は、専門技術の原価算定に関し、納税義務者は申告せず、あるいは証明書類の提出ができない場合、出資先企業から受け入れた株式の額面価額の30%に相当する金額とする、という財政部(財務省に相当)の通達によるとの見解を示した。(2007.03)

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