台湾初の特許権の強制実施が廃止へ

J070601Y1・J070531Y1 2007年6月号(J94)

 台湾中堅光ディスクメーカー「国碩」はフィリップスと長いこと内外で争訟を繰り広げてきた。もっとも注目されていた台湾初めての特許権の強制実施処分は、特許権者のフィリップスの申立てを受けてEU調査官が台湾入りしたり調査を進めている最中で、5月31日をもって廃止される展開になった。

 2004年7月、フィリップスが所有する五つのCD-R関連特許に関し、台湾知的財産局は「国碩」の請求を受け入れ、強制実施を認める決定を下した。強制実施処分をめぐって知的財産局と行政裁判で争っているフィリップスはともかく、「国碩」も先日、処分の廃止を求めてきた。廃止を求める目的は一致しても、双方が主張する理由は大いに異なる。「国碩」は6月から生産拠点をタイに移すことで、強制実施許諾を求めた原因が消滅するため、処分廃止を請求したという。これに対し、フィリップスは、「国碩」が製造するCD-Rを国内市場に供給することに限定する、という強制実施に付随する条件を同社が遵守していなかったことを理由に廃止を求めたのである。

 フィリップスは、「国碩」の強制実施条件の不遵守について、行政手続法第123条に基づき、過去に遡って強制実施処分を失効させるべきと主張するが、知的財産局は「国碩」とその子会社によるCD-R製品の輸出申告について、「国碩」が提出した会計士の検査報告や税関資料を調べたところ、フィリップスが指摘したような違法な事実を裏付ける確証はないという。ところが、決定書に「今後手続きの進行は、関連する証拠や資料があるかないか次第で決める」と示唆めいたことが書かれていることから、これでフィリップスに道を閉ざしたと言い切るのはまだ早い。(2007.05)

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