人間的文化の特色を表す商品で使う証明標章 商標法の保護対象へ
J070625Y2 2007年7月号(J95)
美濃の紙傘や三義の木製彫刻のような人間的文化の特色に富む地方の特産品についての証明標章・団体商標出願を認めるなどを盛り込んだ「証明標章、団体商標及び団体標章に関する審査基準」の改正案に対する意見募集、公聴会開催が最近行われている。知的財産局の案によると、特色のある産地で生産する農産加工物、水産加工物、工芸品、お酒などといった地方特産物についても産地証明標章・産地団体商標を出願して商標法の保護を受けることが可能になる。
知的財産局副局長の王美花女史によると、台湾における証明標章は、他人の商品(役務)の特性、品質、精密度、産地その他の事項を証明しようとするときは、他人の商品若しくはサービスを証明する能力を有する法人、団体若しくは政府機関が出願して登録を受けるものである。産地・出所を表示するものについても同様、自然人による出願が認められない。
どのような商品についての産地証明標章出願はできるか?王女史は、ある地域の製品はその加工或いは生産の技術で名を知られ、かつ商品の品質、名誉、特色に識別力があってこそ出願ができる、と説明。例えば、台湾の「鹿谷郷産凍頂ウーロン茶」は、天候が涼しく雨量・日照が過不足無しで昼夜問わず霧がかかっている、標高1200メートルのよく肥えた山間地で育てられてこそ、品質の優良な凍頂ウーロン茶ができる。
証明標章の出願人は商品の取次ぎ販売をしていない独立した第三者機関でなければならない。したがって、政府機関による出願が殆どである。しかし、政府としては民間企業の力添えがなければ地方特産物の販促を推し進めるのは難しい。団体商標なら、農産加工物、水産加工物の販売をも手掛ける農会(農協)や漁会(漁協)の出願が可能である。
証明標章は、使用制限の条件を満たしている者にのみ使用を容認する。これによって、当該標章の証明を受けていない他の商品(役務)と区別するのである。証明標章の権利者は証明標章を使用しないが、使用者が法に従って証明標章を使用しているか、当該標章によって証明される商品(役務)が使用条件を満たしているかどうかを、使用を認めてからも引き続き管理・監督する義務がある。
産地証明標章は一般の証明標章と同様に、出願時に証明しようとする内容、地域範囲の画定、商品(役務)が有する特定の品質、名誉その他の特性及びこれらの地理的環境との関連性を明確に記載しなければならない。
台湾の産地証明標章と団体商標の相違
種類 |
産地証明標章 |
産地団体商標 |
相違点 |
開放的。 |
閉鎖的。 |
権利者自身は当該標章が証明する商品の製造販売、或いはサービスを行わない。 |
商標権者は団体商標が使用される商品の販促活動が可能。 | |
共通点 |
*識別力を有する。 |
(2007.06)