一括許諾巡る違法性判断 台湾公取委がガイドライン作りに フィリップスら三社所有CD-R特許のパッケージライセンス事件がきっかけ

J070619Y4 2007年7月号(J95)

 フィリップス、ソニー、太陽誘電三社が所有するCD-R関連特許の一括許諾(パッケージライセンス)に端を発する紛争は企業間にとどまらず、台湾行政院公平取引委員会(以下、公平会)にも火が廻っている。公平会のフィリップスら三社に対する処分を不当なものとした最高行政裁判所の判決が下されたのに続いて、フィリップスの不服申立てを受けたEU欧州委員会も台湾知的財産局による係争CD-R特許の強制実施処分について調査を進めている最中である。ハイテク産業界におけるパテントプール普及に伴う特許ライセンス紛争の処理の円滑化を図るため、公平会は処理原則(ガイドライン)作りを始めることを発表した。

 公平会により、原則としては、「市場」に着眼して、パテントプールのようなライセンシングが技術、商品、創造革新、応用といった「特定市場における産業競争力」に影響を及ぼしているかで、公平取引法(日本の独占禁止法と不正競争防止法に相当)で禁止される不正競争を行ったかどうかを判断する。いわゆる「特定市場」は、一般に謂う商品市場だけでなく、技術市場と技術による創造革新、応用の市場をも含む。市場範囲の認定は、ライセンスの形やその用語にとらわれず、あくまで権利者の許諾行為の関連市場への影響を客観的に判断するという。

 ガイドライン作りは、CD-R関連特許のパテントプールを構成するフィリップスら三社の台湾メーカーに対するパッケージライセンスをめぐる紛争がきっかけだった。

 フィリップスらの一括ライセンスで理不尽な要求を強いられていると台湾メーカーは公平会への摘発でこう主張した。台湾で初めてみるパテントプールの事案だった。公平会の調査で、CD-R規格に必須な特許をもっているフィリップスら三社が技術標準化の制定、パテントプールによる一括許諾を通じて、CD-R市場における独占的な地位を獲得し、ライセンシーの要求があったにもかかわらず、CD-R特許に関連する資料の詳細の提供を拒否したのは市場地位の濫用にあたり、公平取引法第10条に違反するとした。

 公平会のCD-R特許技術が影響する「市場」に対する見解はフィリップスら三社と異なる。公平会は、フィリップスら三社による一括ライセンスは「CD-R技術市場」の独占にあたると認定するのに対し、フィリップスらは「ライセンス方法は独占事業者の公告廃除前にすでにあった」と抗弁する。台湾最高行政裁判所は後者の主張を認め、公平会が主張する違法理由でフィリップスら三社を罰するには独占事業者の公告が前提であるとした。公平会はこれを不服として再審の訴えを提起する考えを示した。(2007.06)

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