音声商標、識別力の欠如 主力業務以外への登録は困難

J070727Y2 2007年8月号(J96)

 国○世○銀行は2004年から相次いで「Enrich your life国○世○銀行」をキャッチフレーズとした広告の音声について金融、銀行、質屋、広告宣伝、宣伝ビラの配布等への使用を指定してあわせて10件の商標登録出願をしたが、審査待ちの2件を除き、7件が拒絶され、登録が認められたのは1件のみであった。同銀行は広告宣伝、宣伝ビラの配布、オンライン広告等を指定役務とした出願に関する知的財産局の拒絶処分を不服として、高等行政裁判所に処分の取消しを求める裁判を起こした。国内外とも主力業務以外の商品或いサービスに使用する特有の音声が商標として登録を認められたケースがあるという同銀行の主張を認めず、台北高等行政裁判所は敗訴を言い渡した。本件はなお最高行政裁判所に上訴することができる。

 判決では、同銀行が登録を受けようとする音声は、出願願書に添付された楽譜とCDで表現された男性重唱の曲調から、一度聞けば印象に残るようなものでなく、また英文字「Enrich your life」は「あなたの人生を豊かにする」という意味で祝福や励ましを表すときに使われる一般的な用語表現であり、上記音声と英文字の組み合わせによって消費者がサービス提供者を区別することができるとは考えにくい、との見解が示されている。

 知的財産局によると、音声商標の登録を認めるかどうかは、識別力があるかないかによる。指定商品或いは指定役務の範囲を主力業務以外の分野に広げようとするときには、その分野において業務運営と商標使用の事実がある場合に限って、識別力があると認められ、登録を受ける可能性が出てくる。「Enrich your life」が出願人銀行の提供する金融業務サービスに広く使用され、利用者に知れ渡っていることから、識別力があるとして登録を認めたという。

 しかし一方で、銀行と無関係の業務、例えば、質屋、不動産取引、宝石・エメラルド取引、広告宣伝等について「Enrich your life」を使用しようとするときは、出願人が提供するサービスの標識として他のサービス事業者との区別がつく識別力を備えていると判断することが困難なため、登録拒絶という結論に至った。(2007.07)

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