流行語“台客”が登録商標? 知的財産局は批判の矢面に

J070807X2・J070808X2 2007年9月号(J97)

 台湾の本来の(庶民)文化を表す言葉“台客”(注:“ニューヨーカー”はニューヨーク州か、同州のニューヨーク市に住む住民のことをいうように、台湾では特にダサい格好をする人についていうことがある。)が、英領バージン諸島に籍を置く会社Cによって商標登録され、その指定商品(役務)はなんと二百以上にのぼるということが問題になっている。

 観光名所で有名な台湾東部の花蓮で、8月2日から5日にかけて開催される予定の「東岸酷熱ロック音楽祭」のうち、「台客ロックコンサート」(8月4日開催)のイベント名に“台客”という文字が含まれることで、C社商標権を侵害する可能性が指摘されたため、主催機関でイベント名を変更し、大量のチラシを回収することになったのがきっかけ。

 C社は「台客」だけでなく、「台客ロック」、「台客ロックフェスティバル」についても商標登録を受けている。与党議員をはじめ、学界、文藝界などから「台客」の商標登録に異論を唱える声が高まり、「社会・文化流行への鈍さ」露呈の知的財産局は登録を認めた張本人として批判の矢面に立たされている。各界からの疑問の声に対し、C社は、「異論を唱える人たちは知的財産の利用方法などちゃんと状況を理解してから発言してもらいたい」、「(音楽祭)主催機関は自らイベントに創意工夫すべきである」というコメントを出し、「台客」についての商標登録を否認している。ところが、知的財産局で公開する商標登録資料を調べたところ、確かに「台客」がC社によって様々な商品について多数商標登録されていることが判明した。
 
 知的財産局によると、商標法第30条に定める商標の善意使用であって、商品・役務を提供していないことが証明されれば、原則として商標権の侵害にあたらない。問題の「台客」商標は登録当時、すでに文化のシンボルになっていたかどうかについては、情報を収集して判断したいとしている。なぜ俗語の「台客」を商標として認めたかという与党議員の問いに対し、知的財産局は、C社がおととし、去年の二年連続して「台客ロックフェスティバル」を開催し、社会から熱い反響を得られたことから、商標としての出所識別機能を備えると判断し、「台客」等商標の登録を認めたという。

 知的財産局は9月11日付けのプレス発表で、社会通念上、近年ブームを巻き起こし、台湾の庶民文化のスタイルを形容する言葉として使われるようになった“台客”という文字が商標として認識されることや、これによって他人の商品或いはサービスと区別することは考えられないから、商標に求められる自他商品識別機能が欠如するとして、職権により無効審判を請求してその登録を取り消す方針を示した。(2007.08)

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