特許侵害損害額算定基準の確立を 米商工会議所が提言 知財局、外国の算定根拠研究に着手 賠償請求立証要件の緩和も

J070918Z1 2007年10月号(J98)

   知的財産権保護問題に関し、米商工会議所の代表、陳世杰氏は台湾裁判所の権利侵害者に対する量刑が軽すぎ、民事損害賠償額算定基準も欠如している状況では、特許権者の権利は十分に保護されていないと指摘し、特許法違反の賠償金額算定基準を定めるよう台湾当局に提言した。

   陳代表によると、今までの特許侵害訴訟に見られたように、権利侵害者に対する軽い量刑のままでは権利侵害行為への抑止効果は上がらない。さらに、権利を侵害されたにもかかわらず、賠償請求をするにあたってどのぐらいの損失を受けたか、権利者は自ら被害額を立証しなければならない。しかし、現行法には合理的な賠償額の算定根拠が示されておらず、権利侵害物品の具体的な販売数を証明するのが困難なため、権利者は合理的な賠償を受けられずにいるという。

   これに対し、各主要国での損害賠償算定基準の研究に取り掛かっているという知的財産局は、現行法では、権利者が自ら権利侵害に関わった物品の数量を証明するのは実務上難しい面があるとしながら、今後は、司法機関が受け入れられる範囲内で権利者の損害賠償請求の要件の緩和と立証責任の軽減について司法院と協議し、これにあわせた法改正を行っていきたいとしている。

   また、特許の強制実施請求要件を緩和する「特許法第76条ノ1を改正する案」が立法院(国会)に提出されたことについて、米商工会議所は特許法による有効な権利保護を強化すべきことを強調し、「特許の実施許諾はビジネス交渉に立ち戻って考えるべきであり、緊急な社会的危難の場合を除き、強制実施で問題解決を図ろうとすべきではない。特許法には特許権者の権利を確保する機能を果たしてもらい、特許をもつ企業が技術市場での支配的地位を濫用することがあった場合は公平取引法を適用して処理するのが望ましい。」との意見を示している。

   台湾における知的財産保護問題に関し、米商工会議所は今年発行の白書で以下の事項を提言している。
1.知的財産権侵害の民事損害賠償金算定方法を定めること。
2.特許権を有効に保護し、特許の強制実施決定を慎重にすること。
3.教科書のコピー、学術ネットワークを通じた違法ダウンロードなどといった校内での著作権侵害問題を引き続き注視すること。
4.侵害者に対する求刑、量刑を重くすること。
5.ネットワーク上の権利侵害行為の抑止への取り組みを強化すること。
(2007.09)

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