求職者情報の不正取得 人材バンクに賠償金377万元の支払い命令

J071013Y4 2007年11月号(J99)

   「104」、「1111」の国内二大人材バンクは規模の拡大を求めて競争するあまり、求職者の登録情報の不正取得をめぐる事件が5年前に起きた。「1111人材バンク」所属の技術者が「104人材バンク」のデータベースに不正アクセスして求職者の登録情報を入手したとして訴えられた裁判で、台北地方裁判所は、1111の社員による不正アクセスで営業秘密に当たる2万件余の求職者情報が流出し、1111の手に渡って利用され、不当利得が生じたため、受益者の1111に対し377万元余の賠償金を支払うよう命じた。

   裁判長によると、求職者の履歴などの個人情報は人材バンクの競争力を左右するもので、「営業秘密」に該当し、ライバル相手に漏えいされると、損害が発生する。したがって、一件当たりの情報につきコスト186元で計算して算出した金額、377万元余を賠償金とする。

   2003年10月、1111人材バンクを経営する全球華人公司(会社)の社員四名が104人材バンクのネットワークに不正アクセスして、104に登録してある顧客(求職者)のアカウントとパスワードを取得したうえ、これらのアカウントとパスワードを使ってログインし、8万件余の求職者情報をダウンロードした。104の求職者情報を自社のデータベースと照合したところ、8万件余の情報のうちおよそ2万人余の求職者が1111に登録していないことが分かり、1111は未登録者宛てに電子メールを送り、1111への登録を勧誘した。

   1111は、104への不正アクセスを指示したことがなく、あくまで社員の個人的な行為であり、また社員に対する刑事判決が確定しており、1111が賠償すべきことではないとしたうえで、2002年に発生したこの事件に対する損害賠償請求がなされたのは2006年に入ってからのことで、とっくに権利侵害行為に対する損害賠償請求権の2年の時効を過ぎていると主張する。

   判決では、権利侵害行為に対する損害賠償としての新聞紙への謝罪広告掲載については、確かに時効の経過により請求権が消滅するが、不当利得返還請求権の時効は15年であるため、1111がこの部分について賠償しなければならないとした。

   人材バンクの競争は激化する一方で、資本額、求人情報数のいずれも国内最大規模の原告が首位の座をキープし続けている。(2007.10)

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