「孔子」の商標登録に反対続出 知的財産局は取消しの意向を

J071115Y2 2007年12月号(J100)

 「孔子」についての商標出願が台湾知的財産局の登録査定を受けたことに世間からは疑問の声が続出している。出願人は中国教育部直轄の「対外漢語教学発展センター」。(注:孔子は中国、春秋時代の思想家、儒家の祖である)

 知的財産局は記者会見で、「孔子」商標の登録が認められたのは審査官の人為的ミスが原因で、対応措置として同局は出願人に登録取消しの意向を表明する書簡を送り、この件に関する意見陳述の期限は12月5日までとする旨を伝えており、先方からは期限延長の申し出があったという。

 同局によると、商標登録対象には「人名」が除外されず、その指定商品若しくは指定役務さえ当該人物の世間に知られる事績と関係がなければ、「人名」はやはり商標として商品又は役務の出所を表示する機能がある。

 出願人は1987年に設立された、独立した法人格を有する組織で、世界各地で「孔子学院」を設置して漢語教育の普及促進に取り組んでいる。今回の商標出願で登録を受けているのは「孔子」、「孔子学院」、「孔子講堂」。問題は、「孔子」が商標登録の対象として適格かどうかである。本件商標登録公告後、知的財産局の内部で検討した結果、「孔子」の二文字のみで構成される本件商標が教育サービス関係の商品(役務)への使用を指定すると、商品(役務)の出所を識別する機能が欠けることになるため、商標法の関連規定により同局が自ら進んで無効審判を提起する。

 しかしながら、商標法第30条第1項第1号により、善意でかつ合理的に利用する方法で、自己の氏名、名称又はその商品若しくは役務の名称、形状、品質、効用、産地その他商品若しくは役務自体に関する説明を表示するもので、商標として使用するものでない場合は、他人の商標権の効力に拘束されない。本件について言えば、善意でかつ合理的に利用する形で、「孔子」を使用することが可能である。

 一方、歴史人物の名称の商標登録の可否をめぐって、知的財産局はわが国の事情を考慮しながら、人物の名称の商標登録に関連する各国の規定を参考に、専門家や有識者を招いて討論し、来年度の「商標識別性審査基準」改定に盛り込む方針を示している。(2007.11)

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