特許法の大幅改正検討中、動植物特許や研究試験免責がポイント

J080121Y1・J080105Y1 2008年2月号(J102)

   知的財産局局長に新しく就任した王美花女史は同局の今年度の重点施策について特許法、商標法、著作権法の改正を推進する考えを明らかにした。そのうち、2003年2月6日改正、2004年7月1日に施行の現行特許法に関し、知的財産局は知的財産権を取り巻く国際環境の推移を持続的に考察しつつ、産業界の発展に合わせ、各界の意見を視野に入れ、改正案の骨子に次の課題が盛り込まれたことを発表した。

1.動植物に対する特許保護を解禁し、権利範囲、権利消尽、個人による非営利的使用行為、農民の免責条件等を明確に定める。

2.2001年のドーハ閣議会議で採択された「TRIPS協定及び公衆衛生に関するドーハ宣言」及び、2003年8月30日にジュネーブで開催されたWTO一般理事会の医薬品アクセスに関する決定は、医薬品製造能力のない若しくは不十分な加盟国はHIVエイズ、マラリア、結核その他重大な伝染病等公衆衛生にかかわる悪影響を与える疾疫により、国が緊急事態に直面するときは、安価な特許薬の入手を容易にする必要があるという基本合意が成立している。これに応じて、特許権によってジェネリック医薬品の製造が制限されるとされていたものでも、一定の条件を満たす場合(緊急事態や公益増進のための非営利的使用)には、医薬品特許の強制実施により、低開発国や開発途上国に対してジェネリック医薬品を提供できるようにする。

3.研究試験の場合には、特許権の効力が非商業的目的の個人行為に及ばない。

4.「新式様専利」(意匠)という従来の名前も「設計専利」に変更し、さらに工業製品のデザインへの保護を拡大するため、部分意匠、二次的意匠、組物意匠、画面デザインといわれるアイコンとグラフィカル・ユーザー・インターフェイス(GUI)のデザインを意匠登録出願の対象に追加する。

5.実用新案技術報告の提示などを含む実務上の問題、実用新案の更正、実用新案権を職権により取り消すことができるかどうか、制度全般にわたる関連規定の改正を検討する。

6.その他、特許実務に対応する手続き的規定の規制緩和、特許料の滞納、補充・修正・更正に関する規定等の見直し。

7.特許権の侵害が関わる主観的要件、類型、賠償請求の範囲及び証拠保全等特許権の侵害に関連する規定の見直しを行う。特許表示については、他国の規定を参考にどのように調整するかを考える。間接的侵害行為については、法制度全体に関わる問題であるため、権利侵害の類型及び行為態様について、司法機関、関連業界と協議しながら検討を進めていく。

  このほか、知的財産裁判所の創設に備え、また経済発展会議における「知的財産権の審査体制の健全化」及び行政院科学技術諮問会議における「特許・商標に関する行政救済手続きの簡素化」に関する決議の実行のため、現行「四審級」行政救済手続きを「三審級」に改めるとともに、部(日本の「省」に相当)レベルの所管庁を設置する方向で計画を立てる方針を示している。(2008.01)

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