CD-R特許強制実施巡り 知的財産局に敗訴判決、台北高等行政裁

J080314Y1 2008年4月号(J104)

オランダ企業フィリップスが台湾知的財産局のCD-R特許に関する強制実施許諾処分を不服とした事件の裁判は、13日に台北高等行政裁判所で知的財産局の敗訴が言い渡された。判決では、係争処分及び訴願決定が取り消され、新たに適法な処分をするよう知的財産局に命じた。

フィリップスは1987年から次々とCD-Rの製造方法に関する発明について特許出願をし、あわせて五つの製法特許を取得している。一方、台湾光ディスクメーカーの「国碩」は1999年10月にフィリップス及びフィリップスが代表するソニー、太陽誘電と五件の係争特許について契約期間を10年とするライセンス契約を結んだ。契約により、「国碩」はCD-R一枚あたりにつき、販売価格の3%か日本円10円のうち金額の高いほうをロイヤリティーとしてフィリップスら三社に支払わなければならない。この一括ライセンスは一度公平取引法違反とされ、台湾公平取引委員会から過料処分が下っているが、その後最高行政裁判所で処分が妥当でないとする判決があった。

2001年3月、「国碩」はCD-R一枚あたりにつき販売価格の2~5%で計算するようにとロイヤリティーの減額を求めたが、フィリップスに断られたため、ロイヤリティーの支払いを拒否した。同年4月にフィリップスがライセンス契約を一方的に終了させた後も、双方は協議を続けたが、合意に至らず、翌年7月に「国碩」はフィリップスが所有する五件のCD-R特許に関する強制実施許諾を知的財産局に請求した。2004年7月、知的財産局は「国碩」の請求を認め、史上初の強制実施許諾処分を下した。ただ、強制実施は国内市場に供給することに限られた。

台北高等行政裁判所の判決では、強制実施処分が適法かどうかは、申立人「国碩」は「合理的な商業条件」を提示して相当の期間に特許権者と協議の末、なお納得の行く結論が出られない場合に限って強制実施を認める余地があるという前提を満たしているかで判断するという。

「合理的な商業条件」は、ロイヤリティーの算定方法、分担のリスク、技術ブランドの知名度、同業者の競争などを含めて考慮すべきである。したがって、申立人が提示したライセンス交渉の内容全体が合理的なものかどうかは、単一の要件でなく、諸要素を総合的に判断しなければならない。「国碩」が提出した、2001年6月~2002年4月の間に行われたフィリップスとの交渉に関する資料からして、五件のCD-R特許に関するライセンス契約締結交渉で「国碩」が合理的な商業条件をフィリップス側に提示したと認定するにはなお不十分であり、また「国碩」が争っていたのはロイヤリティーの計算方法のみならず、その他のライセンス条件にも異見を唱えた。

「国碩」が2001年3月~4月に「販売価格の2~5%でロイヤリティーを計算する」条件を提示したことと、この計算方法が合理的であることを根拠付ける何らかの関連資料だけで、特許法が定めた「合理的な商業条件」に該当すると拙速に判断し、「国碩」に強制実施許諾請求を認めた知的財産局の処分は明らかに妥当ではないとした。

去年10月、「国碩」との和解交渉がまとまり、アメリカで契約を交わしたことから、フィリップスは今回の判決結果を問わず、「国碩」にあらためて賠償金を要求するつもりはないとの意向を表明した。知的財産局も4月10日付けのニュースリリースでこの判決について控訴しない方針を明らかにしたため、「国碩」の強制実施請求から七年間が経ち、遂に今回の判決によってCD-R特許ライセンスを巡る法廷戦にピリオドが打たれた。(2008.03)

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