産業界「知的財産銀行を」 学界や政府関係者は困難視

J080422X5 2008年5月号(J105)

 世界知的財産権の日を四日後に控え、知的財産局は22日、知的財産権トップ会談を開催した。座談会に出席した産業界の代表は、知的財産銀行(IP Bank)の設立を提唱し、政府予算で研究開発して得た特許技術を産業界にシェアし、知的財産権の価値を国家競争力に反映させることを呼びかけた。これに対し、学界や政府関係者は現実に困難なことだと保守的な態度をとっている。

 金仁宝グループの許勝雄会長は、「政府当局が技術産業の知的財産権についてシェアしあう体制、つまり知的財産銀行のようなものを作り、学界及び研究機関など政府の経費で研究開発を行って得た特許を企業とシェアし、外部への技術移転或いは合弁を通じて特許の価値を最大限に引き出し、国の競争力を向上させる」と話した。

 資訊工業策進会(情報工業振興会)科学技術法律センター主任によると、新しい「産業三法」の一つの「創新加値条例」(創造革新価値向上条例)にはイノベーション研究データバンクに関する規定を設けており、これが知的財産銀行に求めるプラットフォームのようなものとよく似ていて、業界における特許の流通を促進する役割を果たせるとの意見を示した。

 知的財産局長の王美花女史は業界の意見について、各省庁を横断した協議が必要で、特許の資源統合を図るチャンスではあるが、実現は難しいという。

 「業者は互いに競争の立場に立っている。たとえ同業界でも、銀行に預け入れた特許は製造プロセスや製品の差異性で他の業者に通用するとは限らない。かつて新竹サイエンスパークでも技術流通のための小規模のプラットフォームを設置したが、失敗に終わった」と交通大学科学技術法律研究所の劉尚志所長からも実現性を困難視する発言があった。

知的財産銀行に対する見方

代表

産業界

政府関係者

学界

立場

賛成

保留

保留

主な論点

1.  業界で繰り返し引用できる

2.  特許価値の拡大

3.  研究開発のエネルギーを集める

1.  各省庁を横断した協議が必要

2.  推進のレベルが高くなければ運営が難しい

1.  知的財産の価値評価及び流通に関する措置の欠如

2.  企業が知的財産戦略の公開を拒む

(2008.04)

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