米スペシャル301条報告書発表 優先監視国に中国、ロシア等を指名 台湾は引き続き一般監視対象 今年除名か夏に再検討

J080427Z8・J080426Z8 2008年5月号(J105)

 米通商代表部が発表したスペシャル301条項の報告書で、アメリカの映画、コンピュータソフトに対する保護が不十分で、海賊版問題が深刻になっていることを理由に中国やロシアをはじめとする九カ国を優先監視国に名指しして知的財産権問題を厳しく指摘している。カナダ、韓国、スペイン、ギリシャ、ノルウェー、マレーシア、メキシコ、台湾等36カ国は一般監視対象。

 ほかに優先監視対象に指名されている国は、アルゼンチン、チリ、インド、イスラエル、パキスタン、タイ、ベネズエラ。海賊版に対する取締りが行き届かず、映画やソフトの海賊版、偽ブランドバック、偽薬などが横行し、アメリカに多大な経済損失を与えているという。

 米レコード業界、映画産業、コンピュータソフト及び出版業界によると、海賊版問題で去年少なくとも300億~350億ドルの損失を受けていると推計した。また報告書で、中国とロシアにおける知的財産権問題が改善に向かっているとの証拠はあることに触れたが、両国政府はどう対応するかなお強い関心を示している。アメリカは1974年通商法306条に基づき再び中国を優先監視国に指定し、知的財産権を確実に保護するよう今後ともプレッシャーを掛けながら、中国に協力して知的財産権保護体制を強化していくことにしている。

 アメリカが今年も引き続き台湾を一般監視対象に指定していることについて、台湾知的財産当局は遺憾の意を表明している。しかしながら、台湾の知的財産権保護への取り組み及び進展を高く評価し、特別に不定期的検討(Out of Cycle Review, OCR)を行い、今夏に検討の結果次第で台湾をスペシャル301条項の監視リストから除名するかどうかを決めるという。

 去年の一年間で台湾における知的財産権への保護に関する改善状況について、米側は報告書で、特に去年6月に立法院を通過した著作権法改正案(通称、P2P法案)、キャンパスにおける知的財産権保護行動計画案の実施、知的財産裁判所の創設に対応する高等検察庁所轄の知的財産分署(支部)の設置計画を評価する一方、知的財産裁判所の早期設置、ISP業者責任制限法、インターネットにおける権利侵害(特にTANet)および校内、学校周辺における著作物の不正利用への取締りの実施に期待するとも明言した。(2008.04)

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