知的財産訴訟新制 日本を手本に秘密保持命令導入

J080529Y6 2008年6月号(J106)

 知的財産裁判所の創設に伴い、司法院は日本を手本にして知的財産権訴訟に「秘密保持命令」を導入した。証拠など訴訟資料に営業秘密が含まれている場合、秘密所持者が裁判所に秘密保持命令の発令を申し立てることができる。その営業秘密を訴訟以外の目的に使用することや、秘密保持命令を受けた者以外の者に開示することを禁止することによって、秘密所持者の従来の営業活動やビジネスチャンスに支障が生じないようにする。

 秘密保持命令を受けた者は、秘密保持命令の申立がある前に既に訴訟以外のルートを通じてその秘密を取得し又は所持していたことを立証した場合、秘密保持命令の制限を受けない。

 これまで国防機密、国家安全或いは性的犯罪に関わる事件についてのみ裁判を不公開とすることがあるが、新しい知的財産権訴訟制度においては、営業秘密への保護を徹底するため、当事者が裁判の公開により営業秘密が外に漏れるのを懸念する場合、裁判所に申立て、又は相手方と協議のうえ、裁判を不公開とすることが可能になる。

 営業秘密には方法、技術、製造工程、配合、プログラム、設計その他生産、販売又は経営に用いる他人の知らない情報が含まれる。実際の、又は潜在的経済価値があり、かつこれについて所持者が秘密保持措置を講じている場合に限って「秘密」を主張することができる。

 秘密保持命令の発令を申し立てるにあたり、書状を提出しなければならない。書状には、秘密保持命令を受けるべき者の身分、命令によって保護されるべき営業秘密の内容、種類、性質及び範囲について明記し、又は調査済み若しくは調査すべき証拠にどのような営業秘密が含まれているかを記載したうえで、その営業秘密の使用を制限する必要性や、公開すればどのような損害を生じるかなどについて具体的に説明することが求められる。

 事件審理が行われている間に申立てがあった場合、裁判所は裁定(決定)が確定する前に、営業秘密に関する部分の審理を一時的に停止しなければならない。相手方の意見を聴く必要がある場合でも、秘密が外に漏れる可能性を最低限に抑えなければならない。原則として、営業秘密は訴訟代理人に対してのみ公開し、必要がない限り、当事者は相手方の営業秘密を知ってはならない。訴訟代理人を対象にする秘密保持命令の発令請求も可能である。

 秘密保持命令を受けた者が命令に違反したときは、三年以下の懲役若しくは拘留に処し、10万元以下の罰金、又はこれを併科することができる。注意すべきことは、業務遂行のため法人の責任者、法人若しくは自然人の代理人、被用者その他の従業員が命令に反したときは、行為者のほか、法人若しくは自然人も処罰を受けることになる。

 秘密保持命令に対抗する方法として、秘密所持者の発令請求が棄却された場合に限って抗告をすることができる。抗告の過程における秘密の漏えいを防ぐため、発令請求が認められた場合の抗告ができず、秘密所持者若しくは相手方は命令の取消しを求めるしかない。(2008.05)

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