知的財産裁判所が発足 対応の高検知的財産支部も

J080701Y6・J080630Y6 2008年7月号(J107)

 知的財産裁判所は7月1日、台北県板橋駅ビルを借りて発足した。知的財産権に関連する民事事件、刑事事件又は行政事件は今後、「審理の迅速化、専門化」を売りにする知的財産裁判所を一審又は二審の裁判所とすることができる。知的財産裁判所は、知的財産権に関連する民事、刑事及び行政事件審理の分離による裁判の長期化、また司法判断のばらつきを解消するために設置されるのであり、専門訓練を受けた裁判官に技術専門家が加わり、知的財産権関係訴訟を取り扱う専門の裁判所である。

 同裁判所の創設に対応して、高等検察署の下に「知的財産分署」(知的財産支部)が設置された。「未来性、国際性、ハイテク化」をモットーに知的財産関係刑事事件の控訴、起訴を統一して行い、将来的には国際協力、事件処理経験の交流を強化していく方針を打ち出している。知的財産分署は初期的に、検察官及び書記官をそれぞれ四名置き、公訴を提起・維持し、判決書を受け取り、起訴不起訴を決定するほか、当事者が一審判決を不服とした場合の控訴又は抗告及び再議(不起訴処分への不服申立て)の処理などに当たらせる。また、各関係機関における知的財産権関連事件処理に統括・協調役を務める。

 知的財産分署は、登録商標・商号の偽造・模倣、販売・陳列・輸入、虚偽不実の表示等(刑法第253条~第255条)、業務上又は職務上知り得た工商秘密の漏えい、商標法・著作権法・公平取引法上の知的財産権侵害に関連する刑事事件を取り扱う。

 知的財産裁判所が管轄する民事、刑事、行政事件は次のとおり。
 専利法(日本の特許法、実用新案法、意匠法三法に相当)、商標法、著作権法、光ディスク管理条例、営業秘密法、集積回路回路配置保護法、植物品種及び種苗法、公平取引法が保護する知的財産権に関する第一審と第二審の民事訴訟事件。本案に関連する証拠保全手続、保全手続を含む。
 刑事事件については、刑法第253条から第255条まで、第317条、第318条の罪を犯し、又は商標法、著作権法、公平取引法第35条第1項(第21条第1項に関連する)及び第36条(第19条第5号に関連する)に違反する事件について、通常の手続き、略式手続き若しくは協議の手続きにおいて為された第一審判決への不服申し立てとしての控訴審又は抗告審。
 また、専利法、商標法、著作権法、光ディスク管理条例、営業秘密法、集積回路回路配置保護法、植物品種及び種苗法、公平取引法上の知的財産権に関する出願、(処分の)取消し又は廃止の手続き、不正競争その他公法上の紛争に関する行政事件の第一審及び強制執行事件。

 2004年~2006年の高等裁判所・地方裁判所の新受事件数(知的財産関連)は年間3,500件から4,500件に増えていることが、司法院のまとめでわかった。知的財産裁判所は専門性の高い技術問題の判断に重きを置き、技術レベルの低い事件はやはり地方裁判所で処理するのが望ましい。

 知的財産裁判所は新規の事件しか受け付けず、現在各裁判所に係属中の知的財産権関係事件は原担当裁判官で結審すべきもので、知的財産裁判所へは移送しない。但し、新受事件を知的財産裁判所へ移送するかどうかは、地裁の裁判官は自ら判断することができる。

 それでも開設初期に僅か八名の裁判官、九名の技術審査官を置くのでは、年間約2,500~3,500件の事件を処理しきれるか、疑問である。ドイツの連邦特許裁判所は61名の法律的裁判官及び57名の技術的裁判官で構成され、年間処理事件数は約3千件。15名の裁判官および11名の調査官をもつ日本「知的財産高等裁判所」の年間処理事件数は約550件~600件程度、いずれも台湾知的財産裁判所の年間処理事件数(予測値)をはるかに下回る。司法院は将来的には処理状況をみて定員を増やしたいとしている。(2008.06/2008.07)

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