知的財産案件量刑要点 刑の加重・減軽は15%が原則 司法判断の分岐を回避 量刑透明化への第一歩

J080629Y9・J080625Y9 2008年7月号(J107)

 知的財産裁判所の創設にあわせて、司法院は6月25日、裁判官の判断・裁量に差が出るのを避けるために策定され、知的財産権侵害案件における刑の量定の目安基準となる「知的財産案件量刑参考要点」を公布した。司法当局として量刑の透明性及び妥当性を求めて踏み出した第一歩であり、知的財産案件にとどまらず、その他の犯罪事件にも適用を広げていくことにしている。

 知的財産権関連事件における刑の加重・減軽の幅は15%が原則。知的財産権侵害で複数の罪及び刑事責任を問われたものは、宣告刑のうち最も長い刑を基礎にその他の刑の合計から10~30%を引いて得た期間を加算して執行すべき刑とする。例えば、知的財産権侵害で四つの罪を犯し、それぞれ1年、10ヶ月、8ヶ月、7ヶ月の懲役が言い渡され、判決が確定した場合、基礎となる最長の刑の1年に、その他の刑の合計である25ヶ月から20%を引いたもの(20ヶ月)を加算して得た2年8ヶ月の懲役を、執行すべき刑とする。

 台湾の法制でいう量刑とは、刑の宣告及び執行刑の量定をいい、刑の宣告は、刑の加重・減軽を含む。知的財産裁判所は2008年7月1日に発足し、また連続犯、常習犯に関する規定が相次いで削除されたため、複数の罪の併合罪のような場合はどう執行刑を定めるべきか関心が集まっている。裁判所が定める執行刑についての指摘がしばしばなされており、知的財産事件に関しても同様に問題とされている。これを背景に、知的財産案件量刑参考要点が策定された。刑の量定の基本原則を掲げ、裁判官が裁判権を独立して行使することを前提に、量刑の目的、原則、要素及び斟酌すべき条件などを基礎に、刑の加重・減軽の例示及び執行刑の量定基準を明確に示す。

 「知的財産案件量刑参考要点」は強制力を有しないものの、高等裁判所、知的財産裁判所準備局及び各地方裁判所から指定された裁判長、裁判官が会合を開き、検討を重ねて得た共通の認識であり、準則としての性質をもつものであることに変わりはない。

 司法院は7月14日に協議会を開いて量刑準則の推進に関する段階的目標を確認し、さらに具体的な実施案を立て、量刑準則の適用範囲を順次に知的財産関連事件以外の犯罪事件にも広げていく方針である。

知的財産案件量刑参考要点

項目

内容

発効時間

200871から施行

刑事責任のある知的財産権関連事件

商標法、著作権法、公平取引法第35条第1項、第20条第1項、第36条、第19条第5号の規定に違反する事件。刑法第253条~255条、第317条、第318条に違反する事件。

量刑原則

行為者の責任を基礎に刑法第57条を斟酌しながら、比例原則及び公平・正義に合致するように定める。

刑の加重・減軽

特別な場合を除き、刑の加重・減軽は原則として15%の範囲内で定める。

複数の犯罪の刑の計算

知的財産権侵害で複数の罪を犯し、判決で確定した者は、特別な場合を除き、最長期又は最高額の宣告刑をもとにその他の各刑の合計から10%~30%を引いたものを加算して得た刑を執行すべき刑とする。

注:専利法(特許法・実用新案法・意匠法)は刑事罰が撤廃されたため、この要点を適用しない。

(2008.06)

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