台湾と米日政府がEUをWTOに共同提訴 ITA違反で、パネル設置決定

J080924Y8・J080923Y8 2008年10月号(J110)

 台湾は米国通商代表部、日本政府と共同で、セットトップボックス(税率13.9%)とパソコン用液晶ディスプレー(14%)、ファックス、コピー、スキャナなどの機能を備えた複合型プリンター(6%)3製品分野に対するEUの高関税はITA(情報技術協定)違反として、WTOへの提訴に踏み切った。当事国同士は協議を続けてきたが、不調に終わった。これを受けて、WTOは9月23日に紛争処理のためのパネル設置を発表した。紛争処理手続の流れでパネル設置から(勧告実施のための妥当な期間の)決定まで15ヶ月、最長18ヶ月がかかる。

 WTOが規定する「情報技術協定(Information Technology Agreement、ITA)」ではIT関連製品の関税撤廃が定められており、上記3製品に新たな関税をかけることがIT業界における技術革新を阻害し、IT製品の価格をつり上げているものとして、EUの保護主義的な政策に矛先を向けている。

 EUは2006年からITAに含まれていた一部のIT製品について、従来の機能が増強されることや新機能が開発されたなどを理由に、ITAの適用をやめている。これらの製品のEU市場における売上高は2007年の時点で700億ドルにのぼり、新たに関税がかけられることで110億ドル程度の費用を余分に負担させられることになる。台湾のIT産業はグローバルに展開し、自社ブランドをもつ企業にOEM、ODMの形で米、日ブランド製品を製造しているメーカーを加え、この課税措置で受けた痛手が大きい。

 パネル設置決定の発表後、ブラジル、タイ、フィリッピン、ベトナム、中国、香港、韓国、インドの八カ国も第三国として本件に加わることを要求し、其の他の加盟国もパネル設置後10日以内に第三国への加入が可能である。

 これまでのパネル審理状況から、本件当事国は今年12月初めに訴状を提出しなければならない。パネルは年末又は来年年明けに審理を行う見通し。台湾からは経済部経済貿易談判代表オフィスで構成する弁護団が出向く。台湾が他の加盟国との紛争についてWTO紛争処理制度に解決を仰ぐのは今回が初めてのことである。(2008.09)

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