スイス裁判所「台湾は国家としての特徴を全て備える」 当事者能力認める ISOを氏名権侵害で訴えた裁判 実質審理入り
J080918Z9 2008年10月号(J110)
台湾は国際標準化機構(ISO)を氏名権侵害で訴えた事件で、スイスジュネーブ初審裁判所は9月17日、台湾は国家としてあるべき特徴を全て備えるとして、訴訟当事者となる権利を認める手続き上の裁定を行ったのを受けて、裁判が実質審理に入ることになった。
台湾のスイス駐在ジュネーブ事務所所長の沈呂巡氏はこれについて、スイス連邦裁判所がかつて台湾海軍によるフランスラファイエット艦購入をめぐる大規模な汚職事件で示した見解が維持され、台湾当局の主張が受け入れられた点において、「法律上の意義のみならず、外交上の意義もある」いいスタートであるとコメントしている。
本部をジュネーブに置く国際標準化機構は「ISO3166」という国名と地域コードに台湾を「中国台湾省」と称し、国際的に広く援用されているため、台湾政府は国家の品格が侵害されたとして、去年7月20日に「中華民国(台湾)」への訂正を求め、ジュネーブ裁判所にISOを提訴した。
裁判所は去年11月8日、今年2月21日に法廷を開いた際、被告のISOは台湾には当事者能力がないと主張し、手続きで事件の審理入りを阻止しようとした。
初審裁判所は裁定で、「原告中華民国(台湾)は国家としての特徴を全て備えている。台湾政府はその領土に主権を有し、かつ有効に行使している。台湾は国連の加盟国かどうか、そしてスイスと国交関係にあるか否かは本件と無関係である。よって、原告が訴訟当事者になる権利を認める。」との判断を示している。(2008.09)