医・農薬品特許権利期間 2~5年間延長の方針

J081022Y1 2008年11月号(J111)

 医薬品、農薬品に係る発明について特許を取得した後、衛生署(厚生労働省に相当)若しくは農業委員会(農水省に相当)が発行する許可証を得なければ特許を実施することができない。しかし、許可証がおりるまでかなりの時間を要するので、特許権を行使できる時間が縮んでしまう。したがって、知的財産局は特許権期間延長基準の改定を行い、特許権の存続期間を2~5年間延長する方針を示した。権利期間の延長申請ができる特許は、医薬品・農薬品に係る発明(その方法発明に関する特許を使用するものを含む)及び、医薬品・農薬品を製造する方法発明であって、かつ延長申請のときには有効なものに限る。

 特許法第52条により、医薬品、農薬品又はその製造方法に係る発明の特許権の実施は、他の法律により許可証を取得しなければならない。許可証取得のため特許公告後2年以上を要するものは、5年を超えない範囲内で特許権期間の延長を認める。特許権利期間延長制度は、医・農薬品及びその製法特許を実施するために法定審査を経て販売許可証を取得するのに要した時間を補うことを目的とする。したがって、特許権利期間の延長は一回に限る。

 改定案により、権利期間の延長を主張することのできる特許発明は、特許期間中であって販売許可証取得済みの医薬品の有効成分、用途若しくは農薬品の有効成分、用途に対応する成分、用途又は製法に限る。権利期間の延長が認められた特許発明の延長期間中の権利範囲は、特許期間中であって許可証に記載された有効成分とその用途に対応する成分、用途又は製法にのみ及ぶ。言い換えれば、期間延長が認められる特許発明は、特許期間中であって中央目的事業主管庁に販売許可証を申請するために特許権の実施を遅らせた特定の対象に限る。

 医薬品又は農薬品を市販するのに政府機関の許可が必要だから、その許可を得るために一部分の特許権利期間を犠牲にしなければならない。こうした状況の中、新薬の研究開発など投資意欲の低下につながりかねないので、特許権期間の延長によって、製薬会社が許可証をまつ間の権利期間の損失の埋め合わせをするのは妥当である、と知的財産局は強調する。期間延長反対の声が少なく、基準の改定は順調に行われる見通し。(2008.10)

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