歴史上の人物・地名等 後天的識別力なければ商標登録禁止へ 「商標識別性審査基準」 早ければ来年1月から適用開始

J081028Y2・J081024Y2 2008年11月号(J111)

 知的財産局では「商標識別性審査基準」を検討しており、歴史上の人物、有名な地名、スローガン等に後天的識別力がなければ、商標登録を認めない。はやければ、来年1月から適用を開始する。

 現行「商標識別性審査要点」は1997年に制定され、2001年と2004年に二度にわたって修正が加えられたが、様々なタイプの商標の例示と本法適用条文の記述はあっても、理論や実例における登録査定或いは登録拒絶の理由に関する説明が乏しく、よくみられる商標類型を審査するにあたっての判断材料についても記載が不十分である。運用上の問題点として、この要点に示された内容から識別力の審査に関する基本原則をマスターするのは容易ではないという指摘がある。

 そこで知的財産局は審査事例をかき集め、各国審査基準を参考に「商標識別性審査基準」の起草に取り掛かっている。基準では、識別力認定の理論説明を強化するとともに、個別事案における関連規定の適用原則を明確にし、さらに審査実務上よくみる文字、アルファベット、数字、簡単な図形、苗字、標語等についての識別力判断の原則を分析する。

 原則として歴史人物の名前や有名な地名の商標登録を認めないが、一定の使用によって後天的識別力を得た場合に限って登録が可能。例えば「ニュートン」科学誌がその代表例。地名については、同一地域の業者であれば誰もがその地名を商標に使えるから、特定の業者に専用権を与えるわけにはいかない。例えば予備校が多く立ち並ぶ台北駅近くの「南陽街(ストリート)」、「玉山(台湾の一番高い山)」銀行、「北極」インキなどが挙げられる。地名と商品そのものが無関係なら登録が可能である。

 商品或いはサービスを宣伝する標語(スローガン)の場合、相当時間の使用を経て消費者に広く認識され、識別力を持つようになったものは登録されうる。例えば、『華碩の品質は磐石のように頑丈だ(注:「華碩ASUS」は大手コンピュータメーカー)』をコンピュータ商品に使用する例。「華碩」は商標ではあるが、その標語が品質の堅固さの表現であるという印象を消費者に与えるため、後天的識別力を得たことが証明されたうえで登録を認められた。このほか、『オフィスにいなくても仕事ができる』を携帯電話等のモバイル通信、ネットワークやインターネット接続等情報通信に使用する例もそうである。

 商標として消費者に認識されていることを、どのような証拠で証明するか?知的財産局によれば、識別力判断の統一性を図るため、審査基準で認定原則及び立証方法を提供して商標審査の根拠とするほか、出願人が出願をする前の自己判断にも役立ててもらいたいという。

 また市場調査を商標使用の証拠として引用することについて、今まで裁判所に受け入れられたケースが少ないことから、知的財産局は市場調査の証拠としての参考価値を高めようと、新基準の策定を機に市場調査機構の信用力、アンケート調査の客観性、調査の方法や対象、範囲及び商品との関連性といった参考データをも盛り込んだ。(2008.10)

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