民事訴訟法改正案 司法院を通過、訴訟当事者の負担軽減のため

J081015Y9・J081014Y9 2008年11月号(J111)

 民事訴訟法第77条ノ19等八か条を改正し、第31条ノ1から第31条ノ3を新設する改正案は10月14日の司法院会議を通過し、立法院に送られた。今回の改正は、国民が民事上の訴えを起こす権利を保障し、民事訴訟手続の経済的効率性と安定性を促進し、また訴訟当事者の負担を軽減するためである。そのポイントを次のとおりまとめた。
 1.現行民事訴訟法により、行政訴訟を提起すべきものが、誤って民事訴訟を提起した場合、裁判所は民事訴訟を却下しなければならず、当事者が支払った裁判費用は返還しない。改正案では、民事訴訟を扱う裁判所は職権により当該事件を行政裁判所を移送し、当事者が支払った裁判費用も行政訴訟の裁判費用に充当させることができ、余分に払った裁判費用は当事者に還付される。現行制度では、充当どころか、還付もしない。
 2.支払命令(支払督促)の申立について裁判所は法廷を開かないで発令することができるようにする。債権者は早期に確定判決と同一の効力を有する執行名義を得ることができる。また訴訟負担の軽減が可能なこの手続の利用を促すため、申立費用も1000元から500元に引き下げられる。
 3.現行規定により、第三審まで上訴できない事件に関し、裁判所は誤って判決で上訴できると記載したため、当事者が裁判費用を納めて上訴し、その上訴を受けた裁判所は訴えを却下した場合、上訴人の申立で又は職権により、裁判費用を返還することができる。
 4.現行法により、再抗告は原抗告裁判所の許可を経てはじめて提起することができるという手続を削除する。
 5.訴訟当事者の損失を最小限に抑えるため、第77条ノ26に第3項を新設する。裁判所の誤った言い渡しが原因で、訴訟当事者が上訴若しくは抗告のために納めた訴訟費用を、裁判所は当事者の申立で又は職権により、当事者に返還することができる。その他これに類する事情があった場合にも、当事者はその納めた費用の返還を求めることが可能である。
 例えば、裁判所が発行した支払命令に関する確定証明書を、債権者は信頼してそれをもって裁判所の民事執行処に強制執行を申し立てた。ところが、強制執行中に確定証明書を発行した当の裁判所がその支払命令が適法に送達されなかったことに気づき、当該確定証明書を取り消した。そのため、強制執行の申立が却下された場合、債権者は強制執行法第30条ノ1により本改正条文を準用して、強制執行申立時に納めた費用の返還を求めることができる。
 6.関連訴訟上の法律扶助に対応するため、第77条ノ22第3項を修正し、「法により裁判費用の徴収が一時的に免除される事件について、第一審裁判所はその事件が確定した後、職権により裁判費用を負担するとされる一方当事者にそれを徴収する」を規定する。

民事訴訟法の一部を改正する案の骨子

改正・新設条文 目的
第31条ノ1~
第31条ノ3 
行政訴訟を提起すべきだが、誤って民事訴訟を提起してしまった場合でも、先に支払った裁判費用を後の訴訟に充当させることができるほか、当事者への還付も可能である。
第77条ノ19  紛争性の比較的低い案件に関し法律関係を早期に確立させるため、支払命令(支払督促)申立てについて裁判所は法廷を開かずに発令する。費用も1000元から500元に引き下げる。
第77条ノ26第3項 裁判所は当事者の申立で又は職権により、裁判所の誤った言い渡しが原因で、当事者が上訴若しくは抗告を誤ってしてしまった場合に支払った訴訟費用を当事者に返還することができる。
第515条第2項、
第32項
送達の不適法により失効した支払命令について、裁判所は誤って確定証明書を発行したため、債権者が消滅時効の中断について改めて訴えを提起するタイミングを逸してしまう。新法では、確定証明書に記載された期日から起算して5年以内に、裁判所が確定証明書を取り消し、かつ債権者に20日以内に訴えを提起すべき旨を通知した場合、支払命令の申立時に訴えが提起されたとみなす。

情報源:司法院                          (2008.10)

TIPLO ECARD Fireshot Video TIPLO Brochure_Japanese TIPLO News Channel TIPLO TOUR 7th FIoor TIPLO TOUR 15th FIoor