「台中商標シンポジウム」 中国で開催 著名商標の不正登録や「中華」、「台湾」を含む商標登録認可等が重点
J081128Y2・J081128Z2 2008年12月号(J112)
中国で開催された台中商標シンポジウムで、台湾知的財産局の王局長は、「中華電信」、「台湾タバコ・酒」など歴史の長い会社の社名の中国での商標登録を認めるよう、中国側に働きかけ、また台湾特産の産地名が不正に商標登録された問題についても積極的に対処することを要請している。
毎年定期に開催する台中商標シンポジウムは、民間団体を通して会議を開き、今年台湾からは海峡両岸商務協調会が代表し、中国側は中華商標協会が代表する。今年のシンポジウムのテーマは主に、「商標法改正の今後の方向性」、「非伝統的な商標審査実務」、「会社名称と商標の衝突に関する実務処理」、「商標の不正登録防止の体制と方法」などをあげる。
近年、台湾と中国で最も関心の高い不正登録問題について、知的財産局は、台、中間の経済貿易・旅行客の交流が活発になりつつあるなかで、中国の著名商標が台湾で不正に登録された問題に知的財産局はこのような風潮を助長させないため積極的に対応し、有効に解決している。したがって、台湾の著名商標についても同様の保護水準を中国側に求めている。
知的財産局が特に言及したのは、公益福祉事業で世界に名を馳せる「慈済」が中国で商標登録された問題である。世界各地被災者を経済的、精神的な面で生活を支援する台湾「慈済」の公益団体としてのイメージダウンにつながりかねないとして、是非その不正登録を取り消してもらいたいと、中国側の協力を強く求めている。中国側は、前向きに検討したいとする一方、「阿里山」、「日月潭」、「池上米」、「古坑珈琲」など今までに中国で不正に商標登録された台湾特産の産地名も次々に取り消したと台湾側の要請に応える努力をしている姿勢をアピールしている。
このほか、「中国」、「中華」、「台湾」といった文字を含む標章の商標登録が一切認められない問題について、中国側は商標法規や実務審査のうえで困難があると難色を示す。さらに優先権の相互承認について、対等な主権国家同士の関係を築くのが前提で、今のレベルによる短時間の交渉で決定できることではないため、今後の努力目標とすることで知的財産局と中国工商行政管理総局は合意し、事実上先送りにされることになった。(2008.11)