米スペシャル301条項監視対象 台湾は11年ぶりの指定解除

J090101Y8・J090117Z8 2009年1月号(J113)

 米通商代表部(USTR)はスペシャル301条項に基づく「サイクル外レビュー」(Out of Cycle Review, OCR)の結果、2009年1月17日に台湾の「監視国リスト(Watch List)」指定解除を発表した。1998年以来の11年ぶりの指定解除で、台湾の近年の知的財産権保護への取組みが評価された形である。

 2008年4月25日、USTRが年度報告を公表した際、サイクル外レビューに関する条項を付けて台湾を監視国に指定した。2001年に米側から「海賊版天国(a haven for pirates)」と非難されたほどの台湾は、8年間の努力を経て、今や技術の革新(イノベーション)と研究開発の拠点と位置づけられるようになった。

 米側が特に関心を示している、知的財産裁判所の設立、校内での知的財産権侵害対策及び著作権法改正案(いわゆるISP法案)という三つの課題について、台湾当局は積極的に対処し、一応の成果をあげている。今回の指定解除について、経済部(日本の「経済産業省」に相当)は、知的財産権保護はわが国が国際社会の一員として果たすべき義務であり、また産業発展と国際競争力の向上にも大いに関わっている、とコメントするとともに、民間及び政府の司法機関(司法院)、行政機関(教育部、法務部、税関、警政署等)、立法院の力合せが指定解除につながったと強調した。監視国指定解除は、情報通信、ソフト、文化等知的財産権に深く関連する産業に朗報であり、投資誘致にも有利である。

 1980年代の終わり頃から1990年代の初め頃まで、わが国はMTVにおける家庭用ビデオ使用、ブランド品のニセモノ、音楽CDの海賊版等問題の深刻化で強く批判され、1992年に米政府との了解覚書(MOU)締結によってどうにか優先監視国への指定を免れた。ところが、1993年になって、米側はわが国が協議内容に基づいて著作権協定を批准しなかった、商標法と特許法もTRIPS協定に合致しない等を理由に、台湾を優先国(priority foreign country)に指定した。歴史的軌跡からみて、アメリカがスペシャル301条の運用によって台湾を含む主要貿易相手国にどれだけのプレッシャーをかけてきたかが伺える。

 技術の進歩につれて、米側が指摘する課題や範囲は、営業秘密法や半導体集積回路回路配置保護法からインターネット上の権利侵害、ISP(インターネット接続サービスプロバイダー)法案にまでどんどん拡大していった。米側は台湾の知的財産権に対する保護への取組みを評価する一方、今後も引き続きインターネット上の権利侵害対策に関する立法化、水際措置の強化、学校内・学術用ネットワークを悪用した著作権侵害抑止への効果的な対応策及び医薬品・医療機器への特許権保護、偽薬流通防止等を含む知的財産権保護体制強化の進展に目を光らせて注視すると釘をさして置いた。(2009.01)
【訳注:スペシャル301条とは、アメリカ合衆国の1974年通商法(The 1974 Trade Act)における知的財産権に対する対外制裁に関する条項。1988年の包括通商競争力法(Omnibus Foreign Trade and Competitiveness Act)により創設された。】

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