知財権侵害への法執行 中国当局の対応が不十分、台湾工業総会アンケート調査

J090109Y6・J090108Y6 2009年2月号(J114)

 台湾全国工業総会は知的財産局の委託を受けて、2008年に「中国における台湾企業が直面する知的財産権保護問題の調査及び対応に関する研究計画」を行った。工業総会が実施したアンケート調査で、台湾企業が中国における知的財産権問題について最も不満に思うのはエンフォースメント、行政の立入り検査と司法の判決を含めて不満と答えた人が4割を超える。法執行担当者の素質の悪さ、地方保護主義の横行が主な原因の一つと考えられる。訴訟に時間や費用がかかるうえ、保護されるべき権利が必ずしも保障されるとは限らない。中国が国際的に批判されがちな点でもある。

 政策・法律制度について、回答者の7割超が「法改正や判決に関する情報の不透明」をあげる。「知的財産権関連法規の不十分」と答えた人が43.1%、刑事事件立件の難しさも3割を超える。

 特許・商標審査について、「審査(査定・拒絶の結果が出るまで)の所要時間が長すぎる」が5割を超え、そして「審査の質に良いものと悪いものが入り混じる(玉石混淆)」、「出願の際に文化の相違による言葉遣いの問題が生じる」も40%に近い。

 エンフォースメントについて、8割近い台湾企業が地方保護主義の横行に不満と無力感を抱き、「関係当局が取締りに力を入れていない」、「政府機関の横の連絡網(横割り)が行き渡らない」も50%に近い。さらに司法裁判について尋ねたところ、「地方保護主義の横行」が68.6%、「訴訟の長期化」が48.6%、「裁判官の専門知識の不足」が40.4%、「審判の質を疑問に思う」が40%と今にも不満が噴出しそうな回答ばかり。

 アンケート調査の結果から、台湾企業が早期解決を望む知的財産権問題に関連する具体的な対策と措置を、政府、民間組織及び台湾企業団体に分けてまとめてみた。
一.政府について
 1.両国間の特許・商標審査官の定期的訪問と交流。
 2.両国間知的財産当局の連絡体制の確立。
 3.特許・商標優先権の相互承認。
 4.模倣品・海賊版撲滅への協力強化。
 5.「特許審査ハイウェイ」の共同実施体制の確立。
 6.専門家証人又は鑑定人に関する情報の提供。
 7.著名(周知)商標情報の提供と保護強化。
 8.地方名物(特産品)の産地名(地理的名称)に関する簡易保護体制の確立。
 9.商標の不正登録・商標乗っ取りの抑止に協力し、相手国領域内の使用証拠を適度に採用する。
10.特殊な商標の登録容認。
11.中国における台湾企業の知的財産管理を指導する。
12.台湾住民が中国特許代理人資格検定を受けられるように規制を緩和する。
二.民間組織について
 1.知的財産に関連する両国間連携に向けたプラットフォームの構築。
 2.知的財産関連情報・問題に関する交流ルートの台湾企業への提供。
三.台湾企業団体について
1.専門団体の設立。
2.模倣品・海賊版問題の解決策を模索する。
3.知的財産管理能力の強化。

中国における台湾企業が直面する知的財産権問題

政策・法律制度  法改正や判決に関する情報の不透明 73.6%
関連法令整備が不十分  43.1%
刑事事件の立件が難しい  30.8%
特許・商標審査 特許審査 (結果が出るまで)の所要時間が長い  54.4%
 商標審査の所要時間が長い  50.4%
 審査の質が玉石混交(良いものと悪いものが入り混じる)  36.8%
言葉遣いの相違  33.5%
法執行(エンフォースメント) 地方保護主義の横行  78.6%
法執行が徹底しない  49.1%
関連機関内の横の連絡網(横割り)が行き渡らない  30.6%
 司法審判 地方保護主義の横行  68.6%
裁判の長期化  48.6%
賠償金が低すぎる  47.8%
裁判官の専門知識の不足  40.4%
審判の質が玉石混交(良いものと悪いものが入り混じる)  40.0%
情報源:台湾工業総会                        (2009.01)

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