スパムメール対策、「商業電子メール乱発管理条例」が閣議決定、立法院へ

J090226Y7 2009年3月号(J115)

 26日の行政院会議で、国家通信伝播委員会(NCC)が提出した「商業電子メールの乱発に関する管理条例」が閣議決定されたことにより、無作為に送信された商業電子メールを受け取った者は、違法に送信をした者(送信元)に対し一通につき500~2,000元(台湾ドル)の損害賠償金を請求することができるほか、団体訴訟制度が盛り込まれたのにあわせて、主務官庁の団体訴訟提起機関に対する審査・監督機能も強化する。

 迷惑メールがそれを受け取った者やインターネットサービスプロバイダーの施設及びその提供するサービスに一定の損害を与えたのに鑑み、インターネット利用の利便性を確保し、ひいてネットワーク環境の安全性及び効率を向上させるため、アメリカ、オーストラリア、日本、韓国、シンガポール、香港、中国等の国や地域においては専門的な法律を設けてスパムメールを規制している。EUは指針で欧州連合加盟国に対し、プライバシー及び電子通信に関する規定に商業電子メールへの規制を盛り込むことを求めている。これを受けて、ドイツ、フランス、イタリア等ではスパムメール対策を法令で定めており、商業電子メールの乱発に対する規制は世界的な流れになっている。

 台湾行政院長の劉兆玄氏によると、「国際社会ではスパムメール対策を法律で規制するのが共通の認識になっており、わが国も速やかに立法化を進め、インターネット利用者の利便性を確保し、ネットワーク環境の安全性を高めなければならない。立法手続きが完了する前に、関連業者に何らかの技術的(不正送信)防止措置の強化を要請するとともに、国際協力を積極的に促進して商業電子メールの不正送信を抑止する」という。

 「商業電子メールの乱発に関する管理条例」草案では、「黙示拒否」が取り入れられ、つまり受信者が送信者の継続送信を拒否するときは、送信者又は送られてきたメールに如何なる返答もする必要がない。送信者は初めて送信をしたときに、受信者が返事をしない場合は継続受信を拒否すると看做すことを明確に記載しなければならない。受信者が継続受信又は継続受信拒否という意思を表明することができるように、送信者が無料の返事方法を提供することが義務付けられる。また、送信のときに、サブジェクト欄(題名)に広告又は商業の表示を付記し、メールにおいては連絡先に関する情報を提供するほか、当事者間の契約における約束がこの管理条例に反するものは無効となることも規定している。

 このほか、「辞書式順序による配信」は違法とし、またサービスプロバイダーへの損害を抑えるため、サービスプロバイダーに対し、かかる配信又は受信を拒絶することができる権限を与える。テクノロジーによるスパムメールの不正送信を防止するため、主務官庁に対しても、サービスプロバイダーに必要な(不正送信)防止措置を講じることを命ずることができる権限を与え、罰則も設けている。

 同意を得ないで電子メールアドレスの収集・販売行為又は他人による不正送信を果たす目的で、無作為に配信する機能のあるコンピュータプログラムの提供等幇助行為を行った者に対しても、送信者と連帯して損害賠償責任を負うことを明確に定める。また、受信者が団体訴訟を起こしやすいようにするため、団体訴訟を起こせる機関は主務官庁の同意を得て、サービスプロバイダー、広告主若しくは広告代理商に対し送信者に関する情報の提供を求めることができる。正当な理由がなく、これを提供しない場合には罰則が適用される。団体訴訟を起こす機関が違法に送信者の情報を利用した場合においても罰則がある。

 同管理条例のポイントを次のとおりまとめて説明する。
1.商業電子メールには受信者が返事しないときは継続受信を拒否することとみなすこと、無料の返事方法を提供すること、サブジェクトを記載すること及び正確なヘッダ情報を提供すること等強制規定を設ける(第4条)。
2.受信者の受信拒否、受信同意の意思表示を受けていない場合の送信、商業電子メールのサブジェクト欄(題名)又はヘッダ情報に虚偽不実又は錯誤を招くような表示があるメール、商業電子メールのに虚偽不実又は錯誤を招くような表示があること、及び「辞書式順序による配信」を含めて主務官庁が公告で禁止する送信行為を実施することを明文の規定で禁止する(第5条)。
3.主務官庁は電子メールサービスプロバイダー及びインターネット接続サービスプロバイダー(以下、サービスプロバイダーと略す)に対し、商業電子メールの乱発の防止に必要な措置を命ずること、サービスプロバイダーが特定の条件の下、送信者にサービス提供中止の措置をすることができること、また紛争事件の処理のため、相談方法を提供することを定める(第6条)。
4.受信者が第4条又は第5条の規定に反して、商業電子メールを送信した者に対し、民事損害賠償を請求することができる。しかし、損害を証明するのが困難なため、一人当たり一通につき500~2,000元の範囲内で賠償金を定める。但し、その受けた損害がこの金額を超えることを証明された場合はこの限りでない(第7条)。
5.商業電子メール乱発(不正送信)の事情を知っている広告主若しくは広告代理商、同意を得ないで電子メールのアドレスを収集・販売した者及びメールの乱発に資するコンピュータプログラムの提供者は送信者と連帯して損害賠償責任を負う(第8条)。
6.団体訴訟提起機関は損害を受けた20人以上の受信者の授権の下、訴訟を提起し、かつ主務官庁の同意を得た場合、受信者のために損害賠償請求訴訟を提起することができ、またサービスプロバイダー、広告主若しくは広告代理商に対し送信者に関する情報の提供を求めることができる(第9条)。
7.この条例においていう団体訴訟機関となり得る財団法人の要件及び団体訴訟提起手続等関連事項(第9条~第15条)。
8.サービスプロバイダーが(商業電子メール)乱発行為の防止に必要な措置を講じなかった場合、又は送信者に関する情報の提供を拒否し若しくは不実な情報を提供した場合、主務官庁は過料処分を行うことができる。広告主若しくは広告代理商は送信者に関する情報の提供を拒否し若しくは不実な情報を提供した場合も亦同じである。
9.団体訴訟提起機関が違法に送信者の情報を使用した場合、主務官庁は過料を科することができ、情状が重大な場合はその訴訟提起の資格を取り消すこともできる(第18条)。(2009.02)

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