国家試験経ぬ記帳代行者への税理士資格付与に違憲判断 大法官会議

J090220Y8・J090221Y8 2009年3月号(J115)

 記帳士(税理士)は通常、国家試験に合格した者でなければならない。記帳士法には試験を受けずに記帳士証書(資格)を取得できることに関する規定がなく、ただ第3条に記帳代行及び税務申告代理人の資格に関して定めていることにとどまっている。ところが、2007年6月、記帳士法第2条第2項が新規追加され、第35条の所定資格に該当する記帳代行及び税務申告代理人は記帳士の証書交付を受けることができるようになった。即ち、第35条により、記帳代行及び税務申告代理人の業務を3年以上行った者で、毎年業務所得税申告をし、かつ24時間の訓練を受けた場合、記帳士の証書授与を受けることができる。

 考試院(国家試験を司る中央官庁)はこれに対して、記帳士の業務執行範囲は「委任を受けて商業会計事務(経理)を取り扱うこと」を含むとし、司法院解釈令「釈字第453号」によれば専門職業の一種に属し、憲法第86条第2号により、専門職業人員は考試院が行う試験で選考された者でなければならない。しかし、前掲規定は記帳代行及び税務申告代理人が記帳士の国家試験に合格せずに財政部から記帳士の証書を授与されることを容認している。このようなやり方は憲法及び憲法解釈に抵触する可能性があり、大法官会議に解釈を申し立てた。次にその事実概要を述べる。
1.記帳士法第2条第2項「本法第35条規定により記帳代行及び税務申告代理人の業務執行登録証書を受領した者は記帳士証書の交付を受け、記帳士として業務を行うことができる」という内容の新規追加条文が2007年6月15日、立法院本会議で可決され、同年7月11日付総統令をもって公布されている。
2.記帳士法第35条第1項により、「本法施行前に既に記帳代行及び税務申告代理業務に従事して満三年、かつその業務執行所得を申告した者は、本法施行の日から登録して業務執行を継続することができる。但し、毎年は少なくとも24時間以上の関連専門訓練を修了しなければならない。」。即ち記帳士の国家試験に合格しなかった「記帳代行及び税務申告代理人」は第35条規定に該当し、かつ毎年24時間の訓練を修了した後、登録すれば記帳士証書の交付を受ける形で、国家試験を受けて合格した「記帳士」と同様の資格を取得することになる。
3.考試院の見解:記帳士法第13条により、「委任を受けて商業会計事務を取り扱う」ことが記帳士の業務執行範囲に含まれている。司法院釈字第453号解釈でこれは専門職業の一種に属し、憲法第86条第2号により、その業務執行資格は法により選考しなければならない。

 大法官会議では考試院の見解に同調する意見が大勢。記帳士法第2条第2項により記帳代行及び税務申告代理人は一定の資格を満たせば、試験を受けずに国家試験に合格した記帳士と同様の資格を取得することができるとなると、消費者は二者の区別がつかず、国家試験に合格した記帳士にとってもフェアでなく、憲法の規定にも抵触するという。大法官の解釈が出された即日から、財政部は今までどおりに記帳士法の規定を適用して、記帳代行及び税務申告代理人に直接登録させ記帳士証書を渡すことができなくなる。およそ八千人が影響を受けるとみられる。

 大法官第655号解釈文では、記帳士は専門職業人員であり、憲法第86条第2号により、記帳士の業務執行資格は考試院が法により選考しなければならない。記帳士法第2条第2項の定めたところによると、考試院による国家試験を受けなかった記帳代行及び税務申告代理人が法により選考された記帳士と同様の資格を取得することになり、上記憲法規定の趣旨に反し、解釈公布の日から同規定はその効力を失う。(2009.02)

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