仲裁条項標準化めぐり 台、中仲裁機関が交渉 ビジネス紛争の早期解決目指す

J090217Y9 2009年3月号(J115)

 台湾「中華民国仲裁協会」と「中国国際経済貿易仲裁委員会」は仲裁条項の標準化に向けた交渉を進めている。中国現地でビジネス紛争が起きたときに、中国市場に進出している台湾企業が台湾で仲裁することを選んでもいいし、台湾における中国系企業も同様に台湾と中国のいずれかを選んで仲裁によって紛争を解決することができるようにしたい。仲裁条項の標準化は台湾と中国の企業が商取引で紛争が生じたときの便利な解決の道となれればという。

 「中華民国(台湾)仲裁協会」の王事務長によれば、中国の裁判所は台湾における仲裁判断を認め、執行に協力している。将来的に台湾政府が中国資本を受け入れるのであれば、中国系企業が台湾でビジネス紛争が生じたときに、台湾若しくは中国のどちらで仲裁をしてもよいことを認めるべきである。

 王事務長はさらに、台湾仲裁協会は初歩的に中国仲裁委員会と双方で適用され得る仲裁案で合意に達しているが、確実に実行するには台湾側が中国仲裁委員の受け入れ、さらには台湾での長期駐在を認めなければ、と話している。

 現在のところ、中国各地で37の仲裁機関は台湾国籍の仲裁人を受け入れている。ここ数年、台湾仲裁協会も中国仲裁人が台湾で仲裁できるように働きかけているが、いまだに良い方向に向かった結論が出ない。 

 国際商取引における紛争解決には、仲裁によって解決される場合が多い。中国仲裁法により、婚姻、認知、監護、相続等以外の民事・商事紛争は仲裁によって解決することが認められている。仲裁判断は民事二審判決と同様の効力をもち、当事者がその判断に不服があれば、さらに裁判所に取消しを求めることが可能である。

 これまでに台湾企業は中国でビジネス紛争にあったときに、仲裁によって解決したケースが少なくない。仲裁制度は当事者の意見を尊重し、仲裁地及び適用法規を事前に(当事者が)約束しなければならない。実務上、中国の裁判所はすでに台湾の仲裁判断を受け入れているが、台湾サイトはまだ中国仲裁人による仲裁判断を認めていない。互いに仲裁判断を認め合う日はそう遠くはないと言えるには、まだ時間がかかりそうだ。

 台湾と中国における仲裁判断の効力が相互に承認される段階に入っていると思われていた時期もあるが、去年台湾の最高裁判所はある事件で中国の仲裁判断を覆す見解を示し、下級裁判所に差し戻したことから、台湾の裁判所は一概に中国の仲裁判断を認めるとも言い切れない。(2009.02)

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