特許表示なくても損害賠償請求が可能 法改正検討中 特許権侵害につき法定賠償金 間接侵害も導入の方針

J090312Y1・J090309Y1 2009年4月号(J116)

 台湾経済部知的財産局は特許表示に関する規定を削除する方向で検討していることがわかった。特許に係る物品の体積が小さすぎる、ばら売り、或いは特殊な性質のものだったりするもの、物品の本体若しくはその包装に表示をするのは難しい。例えばチップのような物の特許、建設工法に関する方法特許など。特許表示に関する規定が削除されたら、特許物品に虚偽不実若しくは人に錯誤を与えるような表示があった場合、商品表示法及び公平取引法で取り扱う。
(訳注)特許法第79条:特許権者は、特許に係る物品又はその包装に特許証書の番号を表示しなければならず、また実施権者又は強制実施権者にも番号の表示を要求することができる。表示を付けない場合は損害賠償を請求することができない。但し、権利侵害者が特許物品であることを知っていて、又はそれを知り得たことを証明するに足りる事実がある場合は、この限りでない。

 このほか、特許権侵害による損害についても賠償金額を法律で明文化する。権利侵害者が侵害を受けた権利者が他人に実施を許諾した金額にあたる賠償金を支払わなければならない。現行専利法(日本の特許法、実用新案法、意匠法に相当)により、特許権が侵害されたときは損害賠償を請求することができるが、権利者は侵害を受けた証明、生産コスト、市場規模及び価格、侵害により減損された営業収益等に関する書類を提出しなければならない。改正案では、特許権が侵害されたときに侵害者に対して請求する損害賠償金の額を明確に定める。要するに、他人への実施許諾に受け取ったロイヤリティー(実施料)を損害賠償金の額として請求することができるようにする。

 知的財産局も間接侵害を取り入れる考えを示した。これまでに特許権侵害に関する損害賠償請求は直接侵害の場合においてのみ認められるが、間接侵害を取り入れたら、直接侵害でなくても、賠償責任を負うことがある。

 同局は3~4月に続々と特許法改正案に関する公聴会を開いて各界の意見を聴き、最終的な案をまとめてから、5~6月に経済部と行政院会議の審議にかける予定。早ければ次の国会(立法院)に提出する見通しである。

特許法の一部を改正する案

ポイント  改正案  現行規定
特許侵害損害額 特許権侵害に対して請求する損害賠償金額を法律で明文化する。特許権が侵害された場合、他人への実施許諾に受け取った実施料(ロイヤリティー)に相当する金額を賠償金として請求することができる。 特許権が侵害されたときに損害賠償請求をすることができるが、権利が侵害されたこと、生産コスト、市場規模と価格、及び営業利益の減収等に関する証明を提出しなければならない。
間接権利侵害 間接侵害者にも損害賠償責任を負わせる。 特許権侵害に関する損害賠償は直接侵害の場合においてのみ認められる。
特許表示 物件による。必ずしも特許表示がはっきりしたものについてのみ損害賠償請求ができるとは限らない。  特許物品若しくは物品包装には特許証書番号を表示しなければならない。しかも表示があったものに限って損害賠償請求ができる。
情報源:経済部                            (2009.03)

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