「Metro Taipei News」がルクセンブルグ大手新聞社の「metro」商標を侵害? 知的財産裁判所「両商標は類似しない」と判断 訴えを棄却

J090309Y2 2009年4月号(J116)

 ルクセンブルグの大手メディアグループ「metro」(商標は添付図をご参照)は、台湾知的財産局に対し、台北メトロが発行する日刊ニュース「Metro Taipei News」(商標は下図をご参照)が登録を受けている商標の取消しを求めた。知的財産裁判所はこのほど、両商標は類似しないと判断し、かつ「metro」は台湾での知名度が低いため、原告metroの敗訴を言い渡した。

 台北メトロは2006年8月、新聞紙、地図、広告企画等を指定商品(役務)に「Metro Taipei News」の商標登録を出願した。metro社は台北メトロの商標と同グループの商標「metro」は同一の英文字で構成され、しかも同じく新聞紙等刊行物に使用されているため、消費者に混同誤認を生じさせる可能性があり、「Metro Taipei News」の取消しを求めたところ、拒絶された。

 metro社は知的財産局の処分を不服として行政訴訟を起こした。同社は、国際的大手メディアグループであり、ヨーロッパ、北アメリカ、南アメリカ、アジアの23カ国にわたり100を超える都市で18言語の刊行物を発行しており、毎日延べ2300万人の読者が同社の新聞を読んでいる。同社年収は4億ドルを超え、「metro」は世界に名を馳せる著名商標であると強調。

 知的財産局によれば、両商標は同一の英文字「metro」があるものの、「metro」は地下鉄の意味があり、台北メトロの営業項目であり、ありふれた単語でもあるため、識別力が比較的低い。そのうえ、台北メトロの係争商標には「metro」と「Taipei News」の組み合わせからなるもので、原告の「metro」商標中の「o」は地球のような図形となっており、両者は外観、呼称、観念のいずれにおいても類似しない。

 同局はさらに、metro社は欧米で知名度が高いかもしれないが、同社が提出した証拠から、台湾でも有名であることを証明するに足りず、かつmetro社は台湾では如何なる新聞紙や刊行物も発行しておらず、台湾人にはなじみの薄い存在である。

 知的財産裁判所は知的財産局の見解に同調し、「両商標とも「metro」という英文字があるものの、その構成とデザインが異なり、類似を構成しないとしたうえで、台湾国民からして、「Metro Taipei」をみると、台北メトロを連想する。原告metro社は台湾では地下鉄をはじめとした交通機関を経営しておらず、台北メトロの各駅で日刊metro紙や刊行物も発行していない。わが国国境内においては、台北メトロの知名度がルクセンブルグより高いはずである。たとえmetroは台湾で有名であっても、台北メトロ商標が原告の商業上の信用を減損するおそれがあると証明されないかぎり、取り消される必要がなく、両商標は並存できる」とした。(2009.03)

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