音楽著作物の利用許諾、料率の一元化や単一窓口の設置を協議へ

　音楽著作物使用料率が一様でないため、知的財産局は、複数の著作権管理団体が単一窓口の設置、比例的料率の採用等を著作権仲介団体に求めること、放送局及びテレビ局が著作権者と使用料率を交渉し、不調に終わった場合、知的財産局に強制利用許諾の請求ができること、そして飲食店や量販店がラジオを放送したりするときに著作権集中管理団体、いわゆる仲介団体に利用許諾権を取得すれば十分で、一々著作権者と交渉する必要がないなどを盛り込んだ法案を提出している。

　各仲介団体が徴収する著作物利用料が一様でなかったり、団体が多すぎて利用権の取得が困難だったり、著作権者が権利喪失を訴えたり利用者は利用料が高すぎたりするなど権利者側と利用者側がそれぞれ不満をもっている。さらに著作権者は刑事告訴で利用者の法律責任を訴追することができるため、地位の不平等で交渉をますます難しくしている。

　知的財産局が作成した「著作権仲介団体条例改正案」によると、仲介団体の数を制限するため、現有団体が合併を申請することができるほか、仲介団体使用報酬率を新たに設けて、4年以内に団体の変更ができないことも盛り込んでいる。また、仮支払体制を確立し、著作権者と利用権者が使用料率を協議する間に、著作権者の権利を保障するため、利用者が利用料の一部を一時的に支払う必要がある。

　一方、公開放送の形態は一次的公開放送と二次的公開放送に分けられる。一次的公開放送とは、放送局、テレビ局で放送した番組をいう。二次的公開放送とは、営業場所で受信した放送局・テレビ局の番組をスピーカー等設備で原放送した番組を拡大して再放送し、お客様に提供することをいう。例えば、量販店、レストラン等。

　現在、立法院で審議中の著作権法改正案（行政院案）は団体数の管理、使用報酬率（使用料率）の規制、刑事訴追の制限等一部の問題を解決することができるが、さらに実務上の問題を解決するため、知的財産局は最近開かれた公聴会で提出した改正案のポイントは、１．二次的公開放送の権利（旅館、病院、お店、観光バス等公共場所で公開に放送した放
送局或いはテレビ局の番組）は、著作権集中管理団体に限って行使することを認めること、
２．放送局・テレビ局の一次的公開放送の利用形態は、団体に加入していない著作権者と利用許諾をめぐる交渉が失敗した場合、知的財産局に強制利用許諾を請求することができること、
３．今の多元化した集中管理団体を管理することが難しく、かつ徴収する使用料率の不一による混乱を収拾し、並びに複数の団体に対して同一の利用形態について利用料を徴収するときに単一の「共同使用料率」を定めることを義務付けることによって、利用許諾の簡略化を図り、社会大衆が著作物を合法に利用する意欲を向上させること、があげられる。

著作権法の一部を改正する案
放送の類型	定義	適用対象	関連規定
一次的放送	著作物を直接に放送する	放送局、 テレビ局	第71条ノ1： 　ラジオ若しくはテレビが、既に公表した著作物を公開に放送し、又はその放送した著作物を同時にネットワーク若しくはその他の通信方法により公衆に伝達しようとするときは、著作財産権者に許諾を求めたが、協議が達成しない場合、著作権事務専門機関に強制利用許諾を請求し、かつ利用料を支払ったうえで、当該著作物を利用することができる。 　前項の強制利用許諾の許可を請求前に、調停を経なければならない。 　著作権事務専門機関は第1項の許可の請求を、著作権事務専門機関のウェブサイトに公布しなければならない。 　第1項の利用料の金額は、一般の著作物について自主的な交渉を経て支払うべき合理的な利用料に相当しなければならない。 　第1項の許可申請、利用料の金額又は計算方式及びその他遵守すべき事項に関する方法は、著作権事務専門機関が定める。
二次的放送	スピーカー、ラッパ等を使って放送局・テレビ局の番組を放送する	旅館、病院、コンビに、 スーパー、 バス、売り場、デパート等	第37条ノ1： 　次の各号に掲げる場合の一に該当する場合は、著作財産権の利用を他人に許諾することは、著作権集中管理団体が行使しなければならない。 　一．有線電信、無線電信その他の器材の放送システムが情報を伝送する方法をもって、原放送した音声・映像を公衆に伝達する場合。 　二．スピーカーその他の器材により原放送した音声又は映像を公衆に伝達する場合。

情報源：知的財産局　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（2009.03）