ストライキ規制の大幅緩和、金融サービス業や交通機関等 予告なしも可能 金融管理委、交通部、工商団体から反対の声

J090321Y9 2009年4月号(J116)

 「労使争議処理法」と「工会(労働組合)法」の改正案は20日の労働者委員会会議を通過し、金融サービス業、大衆運輸(交通機関)、石油、通信伝播等業種のストライキに対する規制が大幅に緩和され、しかも30日の冷却期間(予告期間)の規定が削除され、要するに予告なしでストライキが可能になった。

 今後、労働者は産業工会(組合)を結成することができるだけでなく、企業に跨って組合を結成することもできる。同一の持株会社内の子会社が組合を結成して、会社が任意で減給したり従業員に無給休暇させたりするなど使用者側が従業員に不当な待遇を強いることに共同で対抗することができるようになる。

 この二つの法案は4月初めに立法院に提出される予定である。労働者委員会によれば、法改正は労使交渉のルートをよりスムーズにし、労使関係のバランスをとり、かつマンパワーの質の向上により、政府の介入にかかる資源の節減を図るためであるという。

 同委員会は一般の金融業に対しより緩やかなストライキ権を与えることに賛成する一方で、証券取引所、先物取引所、店頭市場取引センター等金融取引機関についてはやはり何らかの規制が必要と考える。

 改正案では、軍人・公務員・教師のストライキを禁止するほか、「国民の生命」に関わる病院、電力会社、燃料供給及び水道局については、労使双方が「必要サービス条項」を協議で予め定めておかなければならないとしている。例えば、期間、条件を制限しなければ、ストライキを認めない。また、110番、119番については一応ストライキを認めない方針を示しているが、国家通信伝播委員会(NCC)と協議してから決めたいとしている。

 ストライキ手続も簡略化されている。今まで組合は会員大会の議決を経なければストライキができなかったが、改正案では会員が無記名投票で過半数が同意すれば、ストライキができ、会員大会を開く必要がなくなる。ストライキは原則「集会遊行法」の拘束を受けないが、合理的な地理的範囲内で行うことが求められる。

 このほか、労使争議処理法にも「独任調停」、「独任仲裁」を新たに設ける。これまでに余り利用されることがなく、労使双方で結成された委員会を通らなければならない制度も、労働者委員会が選出した独立した専門家が扱うことになる。外国労働者も組合の理事・監事に就任することが可能になり、外国労働者の権利がよりいっそう保障されることになる。

金融監督管理委員会(日本の金融庁に相当)、証券会社の反応

 金融監督管理委員会(通称、金管会)の上層部は労働者委員会が示した改正案について、証券・先物取引決算及び保管担当者のストライキは資本市場の秩序に影響し、国内外投資家の権利に危害を与えることになりかねず、行政院会議で討論するときに反対の意見を示したいと表明。
 金管会によると、証券取引所、店頭市場取引センター、先物取引所、台湾集中保管結算所(Taiwan Depository & Clearing Corporation、有価証券の集中保管等を行う会社)がストライキすれば、株式市場を含む証券市場は取引中止となり、投資家の権利への影響が広い。国家社会の安全、金融安定性、国民生活等の公共利益から、明文化の規定でストライキを禁止することには正当性と必要性がある。
証券商公会(証券会社産業組合)によれば、金融証券産業は一般の産業と性質が異なり、労働者委員会は一般の産業に対してのみ決定権があるはずであり、金融業は金融主務官庁が決めるべきであるという。

交通部(国土交通省に相当):少なくとも三日間の作業期間が必要

 ストライキ権の規制緩和について、交通部は、大衆運輸事業(交通機関)は国民の生活と密接に関わっている。ストライキするのであれば、予め主務官庁の交通部に予告し、対応を考える時間を与えるべきであって、少なくとも三日間の作業期間が必要である。鉄道、公共道路、航空等交通部所管事業のいきなりのストライキは国民の日常生活への影響が重大である。主務官庁としては、国民に通告したり対処措置を講じるための十分な時間がなければ困るという。(2009.03)

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