裁判官法草案 司法院を通過、裁判官不適任者の罷免に向け 一歩前進

J090407Y9・J090406Y9 2009年5月号(J117)

   「裁判官法」草案はついに4月8日の司法院会議を通過した。同法案の趣旨は、裁判官の身分及び待遇を保障し、裁判官不適任者を罷免するだけでなく、また独立審判という裁判官の精神を維持することにある。 

   同案は裁判官の評価及び懲戒制度を強化するため、アメリカの裁判官懲戒制度を参考に、弁護士、学者、検察官及び有識者を裁判官評価委員会に取り込むほか、評価の信頼度を高めるため、事件の当事者も裁判官の評価を申し立てることができる。また職務法廷を設置し、専ら裁判官の懲戒等を処理し、不適任な裁判官の淘汰制度の透明化、公開化を図る。

   現行裁判官淘汰制度は殆ど公務員懲戒制度と同じで、司法院が裁判官を懲戒処分に決議した後、監察院に移送し、裁判官を弾劾させ、更に公務員懲戒委員会の審議に移送する。実際、裁判官が公務員懲戒委員会で淘汰と議決されるケースは少ない。裁判官法草案では、評価委員会と職務法廷の体制を新たに設けることによって、裁判官として不適任な者を淘汰(罷免)する。

   草案には更に裁判官になりうる対象と選考範囲を広め、検察官、公設弁護人(国選弁護人)、弁護士及び学者から選考することができると規定する。また裁判官の自治を確実なものにするため、裁判官会議が裁判官を監督、考査する。次に草案のポイントをまとめて説明する。
  
1.裁判官の対象及び選考範囲:優秀な人材を裁判官に取り入れるため、検察官、公設弁護人(国選弁護人)、弁護士及び学者から優れた者を裁判官に起用することができると定め、並びに司法院裁判官選考委員会を設け、裁判官の選考にあたる。
  
2.裁判官職務の監督、考査及び自治:裁判官の自治精神を確実なものにし、裁判官が制度化した手続を通じて裁判所行政にアドバイスを出すことができるように、司法院及び各裁判所に裁判官会議を設け、各当該裁判所の裁判官全体で構成する。裁判官会議は、裁判官の審判事務の分配、裁判官の考査、裁判官の奨励・懲戒、裁判官の監督及び裁判所行政に関する建議等事項を議決する。
  
3.裁判官の評価及び懲戒:アメリカ各州裁判官の懲戒制度を参考に裁判官評価委員会を設け、外部からの成員を大量に取り入れ、各界の裁判官評価委員会の公正性に対する信頼度を高める。裁判官評価は外部メンバーの導入以外、もう一つの特徴がある。それは評価の機能を発揮し、司法への信頼を築き上げるため、個別案件の当事者(検察官を除き)が裁判官の評価を申し立てることができることである。
   4.職務法廷:司法機関自主懲戒の憲法原理に基づき、草案はドイツ、オーストリアの立法例を参考に、司法院に職務法廷を設置し、裁判官の懲戒、身分の保障及び職務監督への救済等を取り扱う。職務法廷は一級一審制をとり、五人の裁判官からなる。司法院公務員懲戒委員会委員長(即ち終審機関が司法院に併合された後の公務員懲戒法廷特任裁判長)を審判長とし、陪席裁判官は実任裁判官(台湾の裁判官制度)として10年以上のキャリアを有する司法院及び各裁判所の裁判官から四人を選出してこれにあたる。(2009.04

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