著作物の二次公開放送 刑事責任免除の方向で検討

J090522Y3・J090508Y3 2009年6月号(J118)

 無線電気通信設備を通じた放送は一次放送。放送局が無線電信を利用して放送した内容は二次放送。売り場をはじめとする営業場所による公開放送は三次放送。いずれの段階の放送にせよ、世界のどこへ行っても利用料を支払うのは当然のことである。

 営業場所による公開放送の二次的利用、例えば旅館、病院、美容院等がケーブルシステムを経営する業者が受信したテレビの内容、或いは量販店、レストランが受信したラジオ放送やテレビ番組を受信した後、さらにスピーカー等のような設備を利用して最初に放送した効果を拡大して、その場にいる顧客を楽しませようとする行為は、現行制度では、利用される全ての著作物について利用許諾を受けなければならない。ただ、設備をオンにして公開放送を二次的に利用することは即ち著作物の利用に該当し、利用者は随時に権利侵害を訴えられるリスクにさらされることになる。ところが、国内は著作権仲介団体が徴収する利用料率がまちまちで、ライセンシングが複雑になり、これをめぐり著作権者と利用権者が長い間争っている。

 知的財産局は著作権法第37条ノ1と第71条ノ1を新たに設け、公開放送の二次的利用についての利用許諾を集中管理制度に取り入れて権利を行使するように進め、また著作物を他人に利用させるときは著作権集体(集中、集団の意)団体が(権利を)行使すると規定することにしていた。ラジオ放送局或いはテレビ局が公開放送をしたいが、著作権者との間に協議が成立しない。このような場合においては、知的財産局に強制利用許諾の許可を申請することができるようにしたいというのである。

 しかし、知的財産局が先日開いた公聴会で、著作権者と利用権者は合意に至らず、同局はこの問題を先送りにした。各界の反対意見を次のように略す。
1.著作物のタイプによってそのライセンシングのモデルが異なり、二次的公開放送の権利を集中管理団体を通じて行使することは現在の市場秩序に影響する。
2.二次的公開放送について権利を行使するかどうかは権利者が決めることで、権利者が行使するか、そして如何に行使するかの権利を尊重すべきであって、強制して介入することは妥当ではない。
3.今の二次的公開放送の紛争は権利者が刑事訴追の権利を有することに起因する。

 このため、知的財産局は当分の間、第37条ノ1の立法化の推進を止め、その代わりに、第37条第6項に第二号、第三号を追加する。即ち、最初に放送した著作物を再び公に放送し、又はスピーカー其の他の器材を使って最初に放送した音声又は映像を公衆に伝達することが関わる著作権問題は民事上の救済にとどまり、刑事上の救済を排除する(詳しくは下表をご参照)。

 同条が改正される前に、利用者が公開放送により権利を侵害されるおそれがあると認めるときは、一先ず書簡を発して利用者にその旨を通知し、利用者から何ら返事が来ない場合、再び通知をする。もし、利用者はなおこれを無視するときは、著作権者は内容証明を発し、1ヶ月から1ヶ月半ぐらいの協議期間を与える。それでも利用者は何の反応も示さない場合、仲介団体は刑事訴追を行うことができる。

 上に述べた問題について、各国の実務はどうなっているかをみてみると、各国の権利者の多くは仲介団体に権利行使を任せているし、刑事訴追についても余り行わない。再放送、スピーカー等の器材を使って公衆に著作物の内容を伝達することなど著作権者が専有する権利について、加盟国は権利を行使しうる条件に関する規定のベルヌ条約第11条ノ2第2項を参考に、知的財産局は「著作権法第37条改正案」を提出し、同条第6項に第二号、第三号を追加して、最初に放送した著作物を再び公に放送し、又はスピーカー其の他の器材を使い、最初に放送した音声又は映像を公衆に伝達するときに、著作権者に対する救済は民事のみにし、刑事上の救済を排除する。

著作権法第37条に関する改正案

改正条文

現行条文

第37条 著作財産権者は他人に対し、その著作物の利用を許諾することができ、利用の許諾に係る地域、期間、内容、利用方法又はその他の事項は当事者の約定による。その約定が不明な部分については、未許諾と推定する。
 前項の許諾は、著作権者が後にその著作財産権を譲渡し又は再許諾することにより影響を受けない。
 非専属許諾におけるライセンシーが著作財産権者の同意を得ないで、その授与された権利の利用をさらに第三者に許諾することができない。
 専属許諾におけるライセンシーはその許諾された範囲内において、著作財産権者の地位をもって権利を行使し、また自己の名義をもって訴訟上の行為をすることができる。著作財産権者は、専属許諾の範囲内での権利行使ができない。
 第2項から前項までの規定は、中華民国90年(2001年)11月12日の本法改正施行以前に為された許諾については、適用しない。
 次に掲げる場合のいずれに該当するときは、第七章の規定を適用しない。但し、著作権集中管理団体に属する著作物は、この限りでない。
一.音楽著作物が許諾を経てカラオケ装置に複製された場合、利用者はそのカラオケ装置を利用して当該著作物を公に実演する場合。
二.最初に放送された著作物を再び公に放送した場合。
三.スピーカー又は其の他の器材をもって最初に放送した音声又は映像を公衆に伝達した場合。
第37条 著作財産権者は他人に対し、その著作物の利用を許諾することができ、利用の許諾に係る地域、期間、内容、利用方法又はその他の事項は当事者の約定による。その約定が不明な部分については、未許諾と推定する。
 前項の許諾は、著作権者が後にその著作財産権を譲渡し又は再許諾することにより影響を受けない。
非専属許諾におけるライセンシーが著作財産権者の同意を得ないで、その授与された権利の利用をさらに第三者に許諾することができない。
 専属許諾におけるライセンシーはその許諾された範囲内において、著作財産権者の地位をもって権利を行使し、また自己の名義をもって訴訟上の行為をすることができる。著作財産権者は、専属許諾の範囲内での権利行使ができない。
 第2項から前項までの規定は、中華民国90年(2001年)11月12日の本法改正施行以前に為された許諾については、適用しない。
 音楽著作物が利用許諾を経てカラオケ装置に複製された場合、利用者はそのカラオケ装置を利用して当該著作物を公開に実演するときに、第七章の規定を適用しない。但し、著作権仲介団体の管理下におかれた音楽著作物は、この限りでない。

(2009.05)

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